ブナの沢旅ブナの沢旅
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2012.03.21
ミカゲ沢ノ頭~臼ケ岳~檜洞丸北尾根
カテゴリー:ハイキング

2012年3月21日

 

穏やかな天候ならば一人でも雪尾根歩きを楽しめるだろうと、以前歩いたことのあるお気に入りのコースを予定していたところ、直前の予報が悪くなりおまけに強風とのこと。すぐにひるんで、あっさりヤーメタッ。今年はまだいっていない檜洞にでも行こうかなあと思案していたところ、kazikaさんとの来月の山行のやり取りのついでに明日は檜洞丸北尾根を歩くとの情報を得た。同行しないわけがなかった。

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登りのミカゲ沢ノ頭北西尾根は、年明けに源蔵尾根から臼ケ岳往復をしたとき、下山路の可能性として調べていた。あの時は少し厄介そうな地蔵尾根への取り付きの時間が読めず見送った。急遽の参加だったが、急いでこの部分だけ確認しておいた。

時間がかかりそうなので、現地入りの時間を早めるため早朝家の近くでピックアップしてもらい、すぐに高速に乗る。おかげで始発の電車で待ち合わせるよりもかなり早く歩き始めることができた。

当日は一転して真冬のような寒さだったが、抜けるような青空だ。日和ったことに少し後ろめたさを感じながらも、冬晴れの気持ちよさに、そんなことはすぐに忘れる。広河原を歩いていくとしだいに両岸が狭くなり、地蔵尾根の取り付きへ。

渡渉して岩壁のバンドに乗り上げると垂直に近い岩場となりロープが垂れている。いきなりきたな、と思う。久しぶりの感触だが、沢のシーズンになればこういう高巻きはよくあること。しばらく急斜面を登って馬酔木平と呼ばれる925m 尾根の平坦地へ乗り上げる。

尾根の反対側から簡単に沢に下れそうだが、そうするとF1の滝下に下るらしい。滝は右岸にロープが張ってあり越えるのは問題ない。ただし濡れずに進むには時間がかかるらしいので、ミカゲ沢北西尾根の取り付き地点となる仏谷と小谷の二俣に下るルートを探る。

980mまで登って注意深く小尾根を探る。相当の急斜面だ。最後はkazikaさんがせっかく持って来たからとロープを出してクライムダウン。降り立った二俣は明るく開けた渓だった。

休憩後、対岸の北西尾根に取り付く。これで今日の仕事は終わり。あとは尾根を歩くだけと気が楽になったのか、kazikaさんは鼻歌交じりで進んで行く。しだいにブナ林となるが皆細くて二次林だ。尾根が広がっていい雰囲気になったところが1230m地点。広い赤土の裸地で、昔造林小屋でもあったのだろうか。檜洞丸方面の展望が開け、南アルプスの山並が鮮明だ。

伐採は1230m付近までだったのか、ここから先はブナが太くなり、気持ちのいい尾根歩きが続く。雪がついてきたが、締まって歩きやすい。ミカゲ沢ノ頭直下でガレた急斜面となり、ルートを確認する。一見右手の尾根が登りやすそうだが、トラロープがある斜面が正解で、違う方向に取り付くと大変らしい。なんて話していると、左手前方にロープ発見。私にはわからなかったが・・・

近づくと、確かに見た目より悪い。ロープを頼りに登ると傾斜が緩んで開けた台地のような山頂へ。蛭ケ岳が近い。ミカゲ沢ノ頭北西尾根を使う場合、多くは地蔵尾根と蛭ケ岳か、臼ケ岳と源蔵尾根を組み合わせるようだ。檜洞丸北尾根とは、かなり野心的。12時までにたどり着ければ予定通り歩けると思っていたので一安心する。

しばらくは稜線の登山道をたどる。臼ケ岳は1月に来たばかりだが、まさか冬枯れの季節にふたたび来るとは思わなかった。雪がたっぷりついた下りの斜面はキックステップを踏みながら快適に下る。Kazikaさんは時々グリセードもどきで遊んでいる。一見気持ちよさそうだが、けっこう疲れるらしい。

真っ青な空と雪のコントラストが美しい。小さなアップダウンを繰り返して金山谷乗越へ。じつは、この先から檜洞丸まではまだ歩いたことがないのです。松田警察署の「ニシタンだより」によると3月14に山岳パトロールがルート確認に入ったところ、蛭ケ岳から檜洞丸のコースタイム3時間のところ8時間かかったとあった。わずか1週間前のことだ。金山乗越からの登り返しでは、そんな苦労が想像できるような雪の付き方だったが、トレースがあり問題なかった。

山頂に近づくとブナ林がきれいになる。力強いブナも多いけれど、今にも立ち枯れそうなブナも目立つ。初めて見る青ケ岳山荘は閉まっていた。そしてようやく山頂へ。ほぼ予定通りの時間に到着。午後になっても富士山が鮮明なんて、最近の山行では珍しい。

初心貫徹のしるしに二人の記念写真をとり、つぎなる目的の北尾根を下る。明瞭なトレースがあった。緩やかな斜面を下りはじめると、目の前にすばらしい展望が広がる。奥多摩方面の幾重にも重なる山並みとその先の白い高峯。あえて選んだ長い道のりが報われる気持ちのいい尾根だ。この尾根を下りにして良かったねと言いあう。

スキーとワカンのトレースは、両方とも「ヤマレコ」利用者のものであることがあとで判明。丹沢記録が豊富なため、ほぼリアルタイムで状況が把握できるのだ。最初はトレースをたどろうとしたが、ガチガチに固まって滑りやすい。

手つかずの雪面をキックステップで下った方が容易で、ワカンもアイゼンも不要だった。1200mを下ると雪もほとんどなくなり植林帯へ入る。ジグザグの仕事道はとても歩きやすいが冗長に感じられた。飽きるころ沢音が聞こえはじめ、広河原を見下ろす彦右エ門谷の堰堤上に降り立った。

昨年暮から何度かに渡り、あまり人が歩かない北面の尾根を歩く機会を得て、どの尾根にもいまだブナが健在であることがわかった。丹沢は冬の日溜まりハイキングばかりだったが、今年こそは緑まばゆい時期にまた歩いてみようと思った。

みかげ1 みかげ2

みかげ3 みかげ4

みかげ5 みかげ6

神ノ川園地7:00~広河原7:45~仏谷出合9:25~ミカゲ沢ノ頭11:20/11:35~臼ケ岳12:00~檜洞丸14:00/14:18~広河原15:50~神ノ川園地16:35