ブナの沢旅ブナの沢旅
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2012.02.11
鎌房山~大白森~甲子山(中退)
カテゴリー:雪山

2012年2月11-12日

 

いつも天気予報をにらみながら行先の調整をしているが、関心の山域が関東以北なので最近はそんな悠長なことを言っていられない。とはいえ今回も当初はなんとか天気の良さそうな足尾・奥日光を計画した。新しい山域なのでかなり念入りに調べ、いろいろ興味深いバリエーションコースがあることもわかった。

そう。ところが・・なのだ。決めたはずなのに、なんだか仕方なくいくような気持ちがして心が弾まない。よくないとは思いながら、sugiさんに気持ちを伝えたところ、しょうがないなあー、でも気持ちはわかるよ、というニュアンスの口調で、土壇場の変更を了解してくれた。

雪が深すぎても手に負えない。南会津に行きたい。などいくつか条件入力し、那須と南会津の境にある大白森~甲子山にきめた。多少の悪天候でもなんとかなりそうに思われた、無雪期の日帰りコースだ。

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車窓から山並みを眺めていると、冬は日光連山まではたいてい晴れていて那須連峰から雲に覆われるというのが定石のようだ。新白河駅からグランディ羽鳥湖スキー場へ向かうと、案の定雪が舞い始める。さあ、どうなることやら・・・

スキー場は予想以上ににぎわっているが、ほとんどがスノーボードの若者だ。今年はスキー場の千円の駐車代が無料になっていた。ここは登山客もリフトに乗せてくれるので、あっという間にゲレンデトップの1280mへ。最初の目的地である鎌房山までは標高差わずか300mという手軽さだ。

ゲレンデ脇を少し下り、適当なところで樹林の斜面に入る。おおむね膝程度のラッセルで、まあこんなものだろうと思う。しばらく進むと右手に無木立の空間が見えたのでトラバースしてみると、ちょっとしたゲレンデのような雪面が下から続いていた。これはありがたいと思ったのもつかの間、雪がしまっておらず膝上ラッセルになってしまう。おまけに風が強い。

淡々とラッセルに励む。振り返るとまっさらな雪面についた一筋のトレースがいとおしい。なんて、まだこのときは余裕があった。しばらくすると前方に巨大な電波塔が見えてきた。林道はこの施設のためなのだろう。

ところどころ雪の吹き溜まりのようなところがあり、膝上どころか腿ラッセルを強いられる。こうなるとあっという間に体力を消耗し、交代時間がだんだん短くなる。積雪期の記録ではいずれも1時間ほどで鎌房山に到達しているが、この調子では二倍も三倍もかかりそう。風はさらに強くなり、高度計の気温はマイナス8度だが体感気温はもっと低い。指先や顔が痛くなる。

林道終点からはブナが主体の自然林となるが、強風にさらされることが多いのか矮小化している。一帯は広い斜面で茫漠としており、コンパスで方向を確認しながら稜線をめざす。稜線にでると低灌木帯がとなり、ふたたび切り開きの雪原をたどる。

山頂に近づくと灌木が霧氷におおわれ美しい。天気が良ければ真っ白な大白森が望めるはずなのだが、展望のないモノクロの世界だ。だだっ広い平原のようでどこが山頂かわからないが、少しでも高いところを目指す。標柱があるはずだが雪に埋もれて見つからなかった。

一番高い所を山頂とみなし、証拠写真を撮る。ここまで3時間近くかかってしまった。さあこれからどうしよう、というまでもなく、二人とも考えは同じだった。そう、撤退。時々吹き飛ばされそうなほどの強風で展望もない。これ以上の稜線歩きは厳しく、予報では翌日も暴風雨マーク。こんな状況で幕営するのは怖い。耐寒耐風トレーニングに来たわけじゃないんだからと、いくらでも理由があった。

さっさと逃げ帰って翌日小野岳へ行こうと決めた。こんなこともあろうかと、小野岳の地図を用意してコースも調べてきた。ただし、こんなことというのは敗退下山ではなく、あっという間に大白森に到達したものの展望がなくてつまらなかったらその日のうちに下山しようという、なんともおめでたい理由だった。

下り始めたらスキーをはいた単独の男性がトレースをたどって登ってきた。やはり鎌房山までだという。口数が少なくトレースのことも何も言わないので、sugiさんが半ばあてつけるように山頂までトレースつけておきましたよ、なんて言っている。下りは早いと思ったけれど、強風でところどころあんなに深いトレースが短い時間で跡形もなくなっていたのには驚いた。

ゲレンデトップに近づくと時折青空が出てきたが、風は相変わらず強く未練はみじんもなかった。最後は初級者用の傾斜の緩いゲレンデ脇を下って駐車場に戻った。予想外の撤退だったけれど、いつもコンディションのいい時にしか山へ行かないのでいい経験になった。そして気持ちを切り替え、翌日登る小野岳の登山口がある大内宿へ向かった。

スキー場ゲレンデトップ10:00-鎌房山12:45-駐車場14:40