ブナの沢旅ブナの沢旅
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2012.01.05
余沢~向山~神楽入ノ峰~三頭山~笹尾根~笛吹峠~日寄橋
カテゴリー:ハイキング

2012年1月5日

 

昨年最後の山歩きからそれほど間はあいていないはずなのに、新年を迎え正月という特別な年中行事が間に入ったせいか、長いこと山に行っていない気がした。ふだんは週末もよく山に出かけるけれど、さすがに年末年始は自粛している。けれど正月も三が日が限度。どこでもいいから山に行きたい・・・

ということで、ようやく年始めの山歩き。やはりブナがある山がいい。三頭山は2年前の降雪後に一人で歩いたのだが、見通しが甘かったせいもあり、ブナを愛でるどころか遭難しそうになった苦い思い出がある。そこでもう一度出直して、余裕を持って歩きたいと思った。

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奥多摩駅に降りるとバス乗り場は閑散としている。小菅行きのバスに乗るが乗客は私たち二人だけ。正月休みと成人の日の連休の谷間だからだろうか。なんだか寂しいくらいだ。昨晩少し雪が降ったらしく、沿道はしだいに雪景色となる。

余沢で下車して少し車道を下ると左手に余沢御番所跡の古い案内板がある。ここは甲武の国境で、武田時代に関所がもうけられ徳川時代の天明年間まで続いたとある。古い歴史のある山村集落のようだ。

登山道から山道となり、植林帯をジグザグに登って行く。ひと登りして尾根に上がると雑木林となり、いろいろな樹木に説明の標識がついている。まるで学習の森のようで興味深い。とくに目を引いたのはペンキで模様を描いたような樹肌のナツツバキ。なんてユニークでチャーミングな木だろう。

向山はどこが山頂だかわからないだだっぴろい平地で、朽ち果てて今にも倒壊しそうな木組みの展望台が青空にそびえていた。案内図をみると一帯は植物園で、周遊散策路がもうけられているらしい。木につけられていた標識が頷ける。

登山道にもどって植林帯のポコを抜けると再び明るい自然林となり、ブナが目立つようになる。緩やかに尾根を登っていくとすぐに鶴峠分岐の登山道に合流する。ここからは尾根直下のトラバース道を進んでいく。すぐにあらわれる小尾根基部との合流点で休憩。

さらにトラバース道を進むが、ヌカザス尾根に続く巻き道との合流点がなかなかあらわれない。通り過ぎてしまったかと心配になり、尾根が近づいたところで緩やかな斜面を登って尾根通しに進むことにした。するとしばらくして見覚えのある分岐があらわれた。小さな標識もある。

2年前にヌカザス尾根から視界のないトラバースの雪道をたどってここにたどり着いた時にはアイゼンの片足をなくし、疲労困憊状態だった。それなのに今回は申し分のない快晴で雪もない。あの時とはまるで別世界だ。

明るい日射しを浴びながら、ブナの大木が点在する尾根を登っていく。ブナは枝振りが見事なものが多く、見上げると青空を背景に冬芽の花が咲いているように見えて美しい。今年もたくさんブナの山歩きができればいいなあと思う。

神楽入ノ峰は展望のない樹林の中の通過点のようだ。しばらくはやせ尾根のアップダウンを繰り返す。すると左手の展望が広がり、幾重にも重なる山並みの奥におなじみの富士山が見えてきた。前回は視界がなかったので、予想外の展望が嬉しい。さっそく地図を広げて山座同定。あれっ、滝子山ってあんなに低いんだ、塔が立っているのは三つ峠山、左手のどっしりとした山は御正体山だね・・・

いくつかポコを越えると尾根が広がり、ようやく三頭山の山頂へ。広い山頂には誰もいなかった。sugiさんに2年前のエピソードを話しながら思い出深い山頂の標識に手をのせる。眺めのいいベンチに腰を下ろしコーヒータイム。風もなく、太陽で背中がぽかぽかする。幸せ気分を存分に味わいながらの歩き始めができたことに感謝したい。

下山路はバスの時間に合わせて笹尾根をできるだけ歩いて上野原側に下ることにした。下り始めると鞍部に立派な避難小屋が立っている。泊ってみたくなるすてきなログハウスだ。奥多摩の避難小屋はどこもきれいに整備され快適そうだが、なかなか泊る機会がないのが残念。

歩きやすい緩やかな尾根なので足取りも軽い。快適に下り、コースタイムよりもかなり短い時間で槇寄山についた。西側は樹木が伐採されて展望のいい休憩場所になっている。笹尾根には至る所に道標やベンチがある。このペースでいけば丸山から下っても余裕がもてそうだ。仲ノ平分岐を過ぎると笹尾根の由来と思われる笹原を歩くようになる。

笛吹峠からは緩やかな登りとなり、どこが山頂だかわからない丸山へ。半ば朽ち果てた道標が立つ台地のような山頂を横目に少し下ると日寄バス停の大きな標識があり、尾根を下る道が続いていた。さあ、最後の下りだ。まるで荷馬車も通れるほどの広い道を落ち葉を蹴散らしながら快適に下る。

道なりにどんどん下っていくと行く手を伐採木でふさがれる。またいで進むと伐採木の散乱がひどくなる。登山道なのにひどいではないか、町役場の担当課に苦情を言おうかなどと憤慨しながらさらに下った。そしてようやく、おかしいと気付く。GPSを見るとやはり登山道からそれている。ああ、またやってしまった・・すぐに先を歩いているYさんに知らせ、来た道をもどる。

バスの時間が頭をよぎり、少し焦り気味となるが、ロスタイムは10分ほど。Yさんも悔やんでいる。地図をみれば尾根を下るのは明瞭なのに、歩きながら漠然と尾根を外れて谷筋へ下るのかと思ったらしい。

尾根に戻っても間違えた明瞭な道以外見つからないので適当に尾根を下っていくと落ち葉に埋もれた道形があらわれた。ヤレヤレと、ホッとする。分厚い落ち葉のせいもあるのかその後も何度か道がわからなくなり地図とGPSを頼りに下る。とても一般登山道とは思えず、とくに下りには勧められないと感じた。

ようやく眼下に集落が見えてきた。地図にはないショートカットの尾根道を直進して下り、最後は民家の裏手から車道に降りた。車道をたどってバス停についたのが4時半少し前。冷や汗をどっとかいてしまい寒気がしたので急いで着替えをすませ、一息ついたところでバスがやってきた。

バスに揺られながら一日を振返る。少し道迷いしたけれど、それもまた楽し。天気に恵まれて静かなブナの山歩きができた。満たされた気持ちで帰路についた。

余沢バス停8:20-向山9:42-鶴峠分岐10:43-神楽入ノ峰11:53-三頭山12:30/12:50-槇寄山13:55-笛吹峠14:58-日寄橋バス停16:28