ブナの沢旅ブナの沢旅
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2011.11.12
室久保川西棚ノ沢~鳥ノ胸山
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2011年11月12日

 

夏の終わりに知床半島を縦走して以来だと思うが、山行後に膝に痛みを感じるようになっていた。それほど深刻ではないし、1週間もすると痛みもなくなるので山行をつづけていたのだが、最近ちょっとヤバイと感じるようになっていた。そこで当初は、今週末は休養するつもりだった。ところが直近になって天気は良さそうだし、メンバーも予定が変わって都合がつくという。

気持ちが揺れた。そこをこらえてどうして休めないのかと言うもう一人の自分がいたけれど、半日程度のハイキングなら大丈夫と強引に説得する。でも、さてどこへ行こうか。短いハイキングとはいえ、できれば沢を絡めたい。行ったことのないところへ行きたい。そんな時、リンクを張っているさわねさんが去年の暮れに行った道志の西棚ノ沢を思いついた。

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橋本駅からレンタカーで道志森のコテージをめざす。ここに駐車しようと思っていたが、もう少し先へ進めそうだ。的様ノ水という標識近くに駐車スペースあり、ここから歩く。少し下ると沢に降りる道があり、なんと数件の民家が並んでいた。

古くからの住民の家というより、セカンドハウスのようだ。沢沿いの台地には小さな水田もあり、きっとこめづくり自給自足の農業を楽しんでいるのだろう。庭の軒先を通ると室久保川の川原に出る。花崗岩の白い岩と白砂できれいな沢だ。

すぐに出合いとなり、西棚ノ沢に入る。左手の小高い所に東屋があり、さっそく5m滝が見えてきた。民家から目と鼻の先の至近距離。きっと夏場は子ども達が歓声を上げて水遊びを楽しんでいるのだろう。光景が目に浮かぶようだ。

きれいなナメの渓相がつづき、日溜まりハイキングにぴったりだ。いくつか炭焼窯の跡も見られた。760m二俣の左には苔蒸して半壊した石積堰堤。右に入りしばらくすると4mナメ滝が見えて来た。簡単に巻けるが、少しは遊んでみようかな。左下のバンドに立ち込み多少濡れながら途中まで登るが、中央の水流をトラバースするとずぶ濡れになりそうなので諦め、右のクラックから登った。落ち口近くでクラックに足が挟まって四苦八苦している間にsugiさんはあっさりとバンドの水流を登ってしまい、写真を撮り損ねて残念。

ちょっと面白かったねといいながらのんびり歩いて行くと、左手に古い東屋とベンチが見えてきた。屋根にはぺんぺん草が生え、ベンチも苔に覆われて年代を感じさせ、いい雰囲気だ。ここで休憩。930mの林道横断点だ。紅葉の落ち葉で覆われとても美しい。林道を北へ進むと恋路峠というロマンチックな名前の峠なのだが、名前とは裏腹に殺風景な所らしく「峠の向こう」さんは失恋したと書いていた。古い昭文社の登山地図にはここから鳥ノ胸山への道が破線でついている。

味わいのある東屋で一休みしてからに上流へ。きれいなナメの見せ場はすぐに終わってしまい、左岸が植林帯となる。倒木が目立ち、もうこれでおしまいなのかなと思ったが、ふたたび自然林となり、ナメが復活する。ただ水量はほとんどない。

しだいに谷筋が狭まり傾斜がでてくる。両岸は苔蒸した岩。見上げると樹林が淡く色づいている。花崗岩の岩棚と急斜面のナメが交互につづく。ヌメリもなく楽しくぐいぐい登って行ける。一箇所5mほどの岩壁に阻まれる。下は岩がかぶっていたが、倒木に乗り上げてクリアする。後半のお楽しみといった所だった。

登るにつれ分岐が頻繁にあらわれ、慎重に読図をする。これもまた楽しい。振返ると加入道山が正面に大きくそびえて見える。稜線直下はさらに傾斜が強まったが、適度に灌木やスズタケがあって登りやすかった。すっきりとした詰めで、雑木ノ頭と鳥ノ胸南峰のコルにでた。

 

あたりはいまだ紅葉の名残があり、淡い色合いがしぶくしっとりしている。靴を履き替え、空身で鳥ノ胸山へピストンする。富士山は雲の中だったが、道志の集落を挟んで御正体山が大きな山容を見せている。裏山の風情で、集落の生活音が聞こえて来る。鳥ノ胸山という山名は興味深いが、雑木ノ頭へ向って振返ったときになるほどと思った。2月に行った会津の二岐山とそっくりだ。

雑木ノ頭方面は自然林でブナも多く、しっとりと落ち着いた雰囲気が好ましかった。誰もいない静かな丹沢っていいなあ。雑木ノ頭で鍋焼きうどんを食べてあたたまる。ああ、また丹沢に帰って来たなあとしみじみする。

平指山には予想通り「峠の向こう」さんのかわいらしい標識がかかっていた。雰囲気のいい尾根を下って行くと尾根が広がり、ステキなブナの森となる。いいなあ、今回一番気に入った場所だ。登山道は尾根を離れ、林道へと下る。下ったところが浦安峠。砂地のような道はかなり崩壊していたが、林道はさらに水晶峠方面にのびていた。ここでもあの標識を探したけれど見当たらなかった。大界木山への登り口も下が崩壊していたが、踏み跡がついていたので問題なく登れそうだった。

さあ、ここからは林道をテクテク歩いて帰ろう。途中に横浜市のキャンプサイトがあったり、橅の森キャンプ場があったりと、飽きることなく駐車地点が近づいて来た。室久保川を見下ろすと予想外の大滝が見え、わあっと色めき立つ。滝上のナメ床には弓矢の的のような三重丸がくっきり見える。地図にあった的様とは、このことなのか。看板があって由来が書かれていた。

源の頼朝が富士の巻き狩りの折にこの地に標的を作り、武道錬成のための矢を射ったとの言い伝えがあるらしい。沢床の三重丸が一ノ的で二ノ的、三ノ的は埋没して見えない、だそうです。おやおや、滝下まで遊歩道がある。下流の渓相もよかったので、室久保川を遡行して滝を登るなり見学してから、西棚ノ沢を歩いても楽しそうだ。

最後は予想外のおまけがついていた膝にやさしい沢ハイキングだった。道志の裏山散策は短い周遊だったが、初めての山域でもありとても楽しかった。(sugi、ako)

murokubo1 murokubo2

的様ノ水駐車地点9:00-西棚沢出合9:05-林道横断点10:15/10:25-登山道12:00/12:15-鳥ノ胸山12:30-雑木ノ頭13:00/13:30-浦安峠14:05-的様ノ水15:07

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