ブナの沢旅ブナの沢旅
▲トップページへ
2011.04.30
シダクラ沢~御前山
カテゴリー:

2011年4月30日

 

連休前半に予定していた新潟・川内山塊の予定を天候不良のため1週間延期とした。そのため時間ができたので、奥多摩の簡単な沢で足慣らしをすることにした。どんなときでも直ぐに決められるよう、日頃から引き出しにはたくさんプランをためてある。

今回は単独での沢始めの足慣らし。まだ行ったことのない簡単な沢で、アクセスがよくて新緑とお花も楽しめる沢ということで、シダクラ沢を選んだ。ちょうどカタクリの時期というのが重要な決め手となった。

=========================

奥多摩駅は早朝から大勢のハイカーで賑わっていた。峰谷行きのバスに10分ほど乗って惣岳で下車。満員のバスだったが、この停留所で降りたのは私一人だった。停留所脇の階段を下りて多摩川沿いの舗道を進むと、左手にきれいな公衆トイレがある。ハイキングコースでもないのに、この場所に不釣り合いなほど立派だ。歩いて10分ほどで青い吊り橋のシダクラ橋へ。かなりの高度感だ。大丈夫とわかっていても、今回の山行で唯一緊張した所だった。

橋を渡ると直ぐに沢へ下る道があり、川原で沢支度をする。一人で少し寂しい気もするが、いよいよ沢シーズンになったという期待感で遡行が楽しみだ。出合いはあまりぱっとしないが、直ぐ先に4m滝が見える。手がかりはあるが直登すると完全にシャワーとなるので、左手から巻く。

最初は無意識に濡れないように歩いていることに気づく。これでは沢トレにならないので、続く4mナメ滝は怖々と水中に手がかりを求めた。かなり濡れてしまったが、これでようやく目が覚めた。

取水口を越えしばらくするとようやくそれなりの小滝が続くようになり、調子が出てきた。大方の滝は両岸とも巻くことができるので、各自のレベルに合った登り方ができそうだ。すこしぬめり気味だが、いろいろルートがとれるので楽しい。2段6m滝は美しい滝だった。

ゴーロ歩きも多いし登りがいのある大滝もないが、最初の植林帯をやり過ごせば、あとは自然林なので、新緑がとてもきれいだ。ゴーロの岩も次第に緑鮮やかな苔に覆われるようになり、それなりの風情がある。

740mの二俣で初めて休憩をとる。沢始めでゆっくり歩いたため、あまり疲れなかった。左俣が本流らしいが、ガイド通り水量が多い右俣へ進む。右手に植林帯へと消える涸れ沢を見てさらに進むと、正面に大きな岩壁が見えてきた。ここが奥の二俣のようだ。次第に水流が細くなり、以降は涸れ沢となる。

左に入って岩壁沿いを登って行くと右手は小尾根の斜面となる。少しのアルバイトで小尾根に上がり、ここで靴を履き替えることにした。尾根の反対側には苔むした岩の涸れ沢が緩やかに高度を上げている。岩壁の右側を登っても良かったかなと思う。ここでふたたびゆっくりとまわりの景色を楽しみながら休憩。西側には大ブナ尾根の稜線が近い。

小尾根は開けた斜面となってルートが判然としなくなる。多少斜面がズルズルするものの下草もなくツメとしては楽なコースだ。とはいえ、直上するよりもトラバース気味に登って早いところ登山道に抜けることにした。最後にふたたび岩峰があらわれ、右側を回り込んでひと登りすると1080m付近の登山道に抜けた。

予想以上に楽に抜けることができたし、ルート取りもほぼ予定通りだったので、一人の沢始めとしては上出来だ。登山道脇の岩陰に、さっそくカタクリの花を見つけ嬉しくなる。よく見ると、登山道の両脇の枯れ草に埋もれた斜面には所々カタクリの花が咲いている。けれどかたまってたくさん咲いているわけではないので、よく見ないと気づかない。

登山道には比較的楽に抜けられたかわり、ここから惣岳山までがけっこう長かった。これまでの一人の世界から人通りの多い大通りへ。カタクリが目当てらしい、立派なカメラを首にかけたハイカーと多くすれ違ったが、数の少なさにみんながっかりしたのではないだろうか。

山頂には大勢のハイカーがおり、とてもゆっくり休める雰囲気ではなかったので、そのまま御前山方面へ向った。途中カタクリがまとまって多く咲いているところがあったので一瞬期待したが、そこは鹿柵で囲われた特別な場所だった。鹿の食害調査らしく、柵で囲われた場所とそうでない場所を比較した写真も掲載されていた。カタクリも鹿に食べられてしまっているようだ。確かに、カタクリのおひたしは甘みがあってとても美味しい・・・

御前山はさらに多くの人だかり。こりゃダメだと思い、ここも通り過ぎることにした。みんな新しい標識の前に群がって写真をとっているが、片隅にある古い標識は誰にも相手にされずにぽつんとたたずんでいた。この標識の写真をとって直ぐに山頂をあとにする。

少しくだった所に避難小屋があった。まだ新しく、窓が広くてとても快適そうだ。でも、ここに泊る機会もないだろうな。小屋を過ぎるとようやく静かな道となり、下るにつれ冬枯れの樹林が少しずつ色づいていく。途中北面の展望が広がる湧水の広場というところのベンチでようやく一人静かに休憩を取る。

さらに下るとしばらくは地図にない車道歩きとなり、東屋のある広場へ出る。車でここまで来ることができるようだった。ここからふたたび車道脇の栃寄沢沿いの登山道へくだる。少し下ると栃寄の大滝を見渡せる絶景ポイントとなる。期待していなかったのでとても得した気分だ。山桜と淡い新緑と一筋の長い水流がとても美しい光景を作り出しており、しばらく見入ってしまった。

沢沿いの道にはニリンソウやネコノメソウが多く見られ、さらに下るとワザビ田跡があった。このあたりにはトチの大木も見られ、新緑がそれはそれは美しい。下山路のことはまったく頭になかったのだが、この道を歩けてよかった。最後は栃寄沢の胎内滝とでも呼びたくなるような10m大滝を見過ごしながら車道に降り立った。

境橋の停留所に着くころちょうどバスがやって来た。うまい具合に飛び乗れたおかげでホリデー快速でスムーズに帰宅できた。と、いう具合に、遠い奥多摩ながら、すべてが順調に進み、新緑とカタクリを楽しんだ沢始めとなった。

惣岳バス停8:05-シダクラ沢出合8:20/8:40-二俣10:40/10:50-登山道12:00/12:10-惣岳山12:45-御前山13:05-境橋バス停15:00