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2011.02.20
荒沢山~足拍子岳
カテゴリー:雪山

2011年2月20日

 

四年ぶりの足拍子岳。あの時はクロガネの頭北東尾根から登って途中でテント泊し、翌日快晴の足拍子から荒沢山を経て下山した。足拍子岳は人気の初級雪稜の山だが、もちろん当時は(そして今も)雪稜など無縁だった。それなのに大胆にもパーティに紛れ込み、おまけにリーダーに手取り足取り叱咤激励の「お世話」をしてもらいながら登ったという思い出深い山なのだ。

その後雪山の経験を重ねる中で、いつも心の片隅に足拍子があった。泣きそうになりながらジェットコースターのようなルートをたどりつつ、雪稜の美しさに感動したことが忘れられなかった。今回はそのメインルートだけを逆コースの日帰りで計画した。

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前夜のうちにkukenさんの車で土樽駅へ向いsamさんと合流。途中平標新道分岐手前に数台、駅前にも数台の車が駐車しており、かなりの人が山に入っているようだった。今回は長時間行動が予想されるので、気合いを入れて6時前には出発する。荒沢山への取り付きとなるカドナミ尾根は道路を挟んで駅前に突き出ており、まさに駅前から登る山なのだ。

橋を渡って少し左へ入ったところが除雪終了点で、ここからワカン(他の2人はシュー)をつけて林道を進む。トレースはなかったが、思いの外雪はしまっている。小屋のところで尾根に取り付く。samさんが終始先頭で進み、時々他のメンバーが追いつくのを待つ。Kukenさんとは交互に前後しながら進むが、最後尾で歩いても重みで沈んでしまい一人ラッセルになるとぼやいている。1時間ほど登ると万太郎から仙ノ倉、平標山の稜線が展望できるようになり、山並みが朝日に照らし出され輝いて見える。

登り一辺倒の尾根なのでどんどん高度を上げていく。早くも荒沢山から足拍子へ続く尾根も目の前に迫り、気持ちが高揚する。その時、足拍子南尾根に二人の人が見えた。早い時間なのできっと途中で泊まったのだろう。思わず二人でヤッホーと叫んだけれど、聞こえただろうか。

真っ青な空と雪稜のコントラストの美しさに感激しながら稜線にのり、まずは荒沢山の山頂へ。1300mほどの低山だが、その展望はすばらしい。今まで見えなかった東側の展望が一挙に開け、正面には大源太山の鋭峰が凛々しい。昨年の8月に沢から登った山だが、あんなに急な斜面を登ったのかと驚いてしまう。さらにその先には巻機山へつづく高峯が白く連なってみえる。駅前から簡単に登れてこれだけの展望が楽しめる山など、そう多くないのではないだろうか。

眼下の谷を挟んでクロガネの頭から三本の尾根が派生しているのがわかる。そのうち北尾根と東尾根を登っているので残すところは中尾根と、心の中でつぶやく。自分には無縁なはずなのに妙な因縁を感じるのだ。それにしても北側から見る足拍子は怪しげな魅力を醸し出している・・・などと、展望の素晴らしさにすっかり満足してしまうが、ここはまだ出発点なのだ。

足拍子0 足拍子3

さあ、これからが本日のメインイベント。地図で見るとフラットな稜線に見えるが、大小数多くのコブがあり、魅惑のナイフエッジを作り出している。けれど、一人ペースの早いsamさんがずっと先頭を歩いてトレースをつけてくれたおかげで安心感がある。お天道様も見方をしてくれている。適度な緊張感を保ちつつゆっくりと進む。

すぐにホソドのコルと呼ばれるギャップがあらわれるが、samさんはここも急斜面を下って岩峰の右側をトラバースしてしまった。懸垂下降のロープワークを確認する予定だったところだ。とりあえずハーネスをつけkukenさんと対応を検討するが、雪が多くて支点作りに時間がかかりそうだった。そこでsamさんのトレースをたどることにして岩峰基部まで懸垂し、Kukenさんにビレーをしてもらい2ピッチのトラバースで岩峰を巻いた。

その後もしばらくはロープをつなぎ合ったまま次々と小さな雪壁を越えて行き、なかなかエキサイティングだ。とくに危険なところはないが、いつもとは違う行動パターンで時間はかかる。今回はピッケルの他に沢用のバイルも持参した。こぶしを雪に突っ込んでバランスをとることが多かった前回の経験を覚えていたからだ。沢では使ったことのないバイルだが、今回は大いに役立った。

ずっとギザギザの尾根で高度があがらなかったのだが、ようやく抜けて山頂へのフィナーレとなる白く美しい稜線の下へ。遠くからはかなりの急斜面に見えたが、これまでの迷路のようなアップダウンとは違って一直線のすっきりとしたルートだ。

山頂近くでトレースのある南尾根と合流し、爽快に山頂へ達することができた。荒沢山以上にすばらしい360度の展望だ。またやって来たよーと、まずは前回苦労して登ったクロガネの頭の尾根を目で追った。今回も仲間のおかげで登ることができたことに感謝。

一足先に到着していたsamさん持参のビールで乾杯し、喜びをわかちあう。どの方角を臨んでも魅惑の山のオンパレード。山座同定がつきないが、時間があまりないので記念写真をとって、下山することに。計画書では南尾根を下ることにしていたが、いつものようにショートカットのルートを下りたがるsamさんの希望に押し切られてしまう。

あっという間に急斜面の雪原を滑りおりていく2人を後ろから怖々とついて行くが、悪い予感通り結局はハング滝の上にでてしまい、懸垂をつなげて南カドナミ沢の枝沢へ降り立った。ヤレヤレだったが、ホソドのコルでできなかった懸垂下降のトレーニングができたと思うことにして鞘を納める。

はじめは急傾斜だった沢筋も本流に出合ってからは両岸が開けた緩傾斜となり、その後は問題なく下ってカドナミ尾根の取り付きに戻った。朝登ったときはまさか南カドナミ沢を下って周回するとは予想もしなかったが、無事に戻れてよかった。この沢を下ったパーティなど他にいないのではないかと思ったが、後日偶然にわらじの山行目録に同じ下山コースを見つけた。やはり物好きはいるものだと思わず苦笑してしまう。

久しぶりの長時間行動となったが、とても内容の濃い充実した一日にみんな大満足。八ヶ岳もアルプスもいいけれど、越後の里山もあなどれない。山椒は小粒でぴりりと辛い。足拍子岳はそんな表現がぴったりの、地味ながら魅力的な山であることを再認識したのだった。

足拍子6 足拍子5

土樽駅5:55-林道除雪終了点6:10/6:20-荒沢山6:30/9:40-足拍子岳13:25/13:40-林道除雪終了点16:45