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2010.12.21
天神平~谷川岳
カテゴリー:雪山

2010年12月21日

 

ようやく雪山オープニングとなった。しかも雪山では初めての単独山行にチャレンジ。おまけに決めたのは前日のことだった。

今年は山行日の天気が悪かったり雪が少なかったりで雪山計画がたたず、このままでは雪を踏まずに年を越してしまいそうな雰囲気となった。そんな中、直前になり毎日チェックしていた山岳天気に晴れマーク。車が使えないのでアクセスを最優先して谷川岳へ行こうと思い立った。一人では不安があったが、いつかクリアしたいハードルだった。

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平日ということもあって水上から谷川ロープーウェイ駅行きのバスは私一人。ロープーウエイ駅もし~んと静まりかえっていた。不安と心細さがつのるが、ここまで来ただけでも良しとして、あとは行けるところまで行ければ山頂にはこだわらないと最初から自分に予防線を張り、ワカンをつけて出発。空の青さだけが味方をしてくれるようだった。

雪は例年になく少ないようで、1000m以下はまだ晩秋の雰囲気が漂っている。対岸の白毛門も山頂以外はまったく雪がない。熊穴沢避難小屋までは夏道がしっかりとした雪道となっており、奥多摩あたりの雪山ハイキングをしている気分だ。

冬季には雪に埋もれる避難小屋も雪はわずか。あまりの暑さにここでヤッケを脱ぐ。これからが本格的な登りとなるが、とくに問題なくどんどん進んでいく。

途中でアイゼンに履き替え、急登の鎖場をこえると傾斜が緩み尾根が開けてアルペン的な解放感がでてきた。左手には万太郎山へ続く稜線が近づいて来た。さすがにこちら側は白さが際立っている。

初めはあまりにもひと気がないので、ひょっとして今日は自分一人の山なのかとも思ったりしたが、上から単独の若者がおりてきた。他にも人がいることがわかって嬉しくなり、さっそく話しかけてみた。踏み跡があって嬉しいという私とは違い、彼は雪の付き方が中途半端だしトレースがありすぎて八ツの赤岳みたいだと少し不満のようだった。写真を撮ってもらって先へ進んだ。

すぐに標識らしきものが見えてきて山頂へ行けるという実感がわいてきた。近づくにつれ2人パーティとすれ違ったり追いつかれたりして山頂に収斂していった。この頃から青空に白い筋雲が混じり始め、午後からの崩れを予感させた。

肩ノ小屋を左に見やって山頂へ。ものすごい風が吹き始めたが、ついに山頂へついたのだ。距離的には短いし、それほど困難もなかったのだが、精神的な距離感とバリアは相当なものだったので、とても嬉しかった。一足先に到着していた2人組の男性に記念写真を撮ってもらい、山頂からの展望を満喫する。

右手には巻機山へ続く国境稜線、左手にはオジカ沢の頭へのシャープな雪稜。いつか歩くことができるのだろうか。彼方には台地状の苗場山も見渡せる。

時間的な余裕は十分にあったのでオキノ耳へも行くことができたが、強風と天候の崩れが心配なので下山することにした。ここで勘違いによるルートミスをしてしまう。肩ノ小屋から下るあたりからガスが出始め焦り始めたのか、西黒尾根への踏み跡にはいってしまったのだ。すぐにおかしいと気づき、あわてて登りかえす。

ガスっていて不安になったが、しばらく登ると背の高い標識塔が見えてきてホッとする。2 人の若者が休んでいる姿をみて緊張が解ける。事情を話して肩ノ小屋の方角を確認すると、自分が小屋と塔の位置関係を勘違いしていることがわかり、再び焦りまくる。

そんな状況を見かねた若者の一人が、小屋までエスコートしてくれるという。GPSを持っていたのだから自分で冷静に対応しなければならないのに、すっかり若者に甘えてしまい情けない限りだ。これでは自立した「岳人」を目指す資格もない。

強風のガスは山頂あたりだけだったのか、200mほど下ると落ち着いてきた。あとでカメラで時間の経過を確認するとホンの十数分の出来事だったのだが、その時はずっと続くような不安でミニパニック状態だった。

これまでも雪山で悪天に見舞われたことはあったが、いつも一人ではなかった。こんなにも気持ちが違うものかと驚くとともに、冷静な判断力をつけなければならないと、身につまされた。

やれやれと戻ってきた熊穴沢避難小屋では、一足先に下ってきた若者2 人組に自分の「恐怖の体験」を話してしばし話し込む。地元の若者で、いろいろなことを教えてもらった。彼らも、下が晴れていても山頂がガスで隠れているときには決して登らないとのこと。

逆に厳冬期でも、天候が安定していれば谷川岳には必ず人が入っているし、冬道には地元山岳会が目印の旗を立てるので、登れるのだとも。げんきんなもので、その言葉に勇気づけられ、再チャレンジしたくなった。

途中で出合った若者の皆さんには、いろいろとお世話になったり話し相手になってもらい、随分と慰められた。登ること自体は問題なかったけれど、精神的な距離は相当で、とても貴重な体験だった。自由に雪山を楽しむために、また少し前に進めた気持ちに満たされながら帰路についた。

谷川岳1 谷川岳2

谷川岳3 谷川岳4

谷川岳5 谷川岳6

天神平9:20ー熊穴沢避難小屋10:10ー山頂11:40ー熊穴沢避難小屋12:30ー天神平13:10