ブナの沢旅ブナの沢旅
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2010.12.18
キリメ峠~岡松ノ峰~ホリヌキドウミ~大谷ケ丸~米背負峠~大蔵沢大鹿林道
カテゴリー:ハイキング

2010年12月18日

 

そろそろ雪を踏みたいシーズンとなったが、天候不順や寡雪でなかなか計画が立てられない。そこで代替案として2週間前に「開拓」した滝子山周辺を再訪することにした。最近手に入れた岩科小一郎著「大菩薩連嶺」(1959年発行)には、たくさんの興味深い伝承や歴史が綴られおり、それらが地名に色濃く反映されているのだという。

前回は、恵能野やアモウ(尼落)など白縫姫伝説にまつわる地名に惹かれながらの沢歩きだったので今回は、もう一つ目にとまった興味深い名称「コメッショイのタル」に着目。今の地図では米背負峠と記され、大谷ヶ丸を15分ほど北に下った広い鞍部である。

岩科本によれば、米背負峠はかつて(他の物資とは違って)笹子を通さずに真木奥へ直接運搬された米の道であったという。塩の道ならぬ米の道。歴史のロマンをかき立てられる・・・急にこの峠へ行ってみたくなった。

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大月駅からタクシーで間明野の金山神社へ向う。境内のエノキの巨木で写真をとり、小さな鳥居をくぐって林道から仕事道をたどってキリメ峠にあがる。古い標識があるが、なぜかキリメ峠の標高が違っている。

大久保山への道へ進む。よく手入れされた植林帯を過ぎると気持ちのいい雑木林となり、樹林越しに滝子山東峰がみえてきた。途中唐突にブナの巨木があらわれる。根本で多くのコブを作り、まるで上から成長を阻害されてねじ曲ってしまったようだ。

台地状の大久保山から広い尾根を快適に下ると鉄塔があらわれた。富士山が展望できる見晴らしのいいところだが、電線が興ざめだ。恵能野川を挟んで前回遡行したアモウ沢の源頭部もくっきりと見える。

鉄塔の右端から鞍部へ下り、岡松ノ峰へ。途中からは相当の急斜面となり、這いつくばるように落ち葉ラッセルが続く。ようやく山頂へ着くと、今度はスズタケの斜面を急降下。150mほどを一挙に下ると林道の通る小沢ドウミへ降り立った。このあたりは地図にない林道がどんどん建設されているようだった。

反対側の山腹につけられた踏み跡から尾根に乗る。スズタケはさらに背丈を増すが道は明瞭だ。ミズナラやブナ、もみの木の混合林となり、樹林の雰囲気がよくなってきた。傾斜が緩み広い平坦な森となる。このあたりが1447m地点のようだ。

さあ次のポイントはホリヌキドウミだ。できることならオオゴ沢に下って米背負峠に抜けようとも考えたが、実際の地形を目の前にするととても下ろうという気になれず、そのままホリヌキドウミの巻き道を探すことにした。傾斜の緩い枝尾根をくだって行くと踏み跡が見つかった。少し進むと白ザレの急斜面となり、痩せてくびれた鞍部がみえてきた。

少し緊張しながらトラバースして鞍部の下まで進み、最後は岩壁をよじ登ってホリヌキドウミへ乗り上げた。核心を越えヤレヤレという感じだ。一方反対のエデ穴沢側は南面で明るく、傾斜も緩くて気持ちの良さそうな源頭部だった。

鞍部からは急斜面の痩せ尾根をたどれば登山道へでられる。少し登るとイワカガミの群生が点在するようになり、さらに登ると尾根がすべてイワカガミで覆われる。すごい尾根だと興奮気味に、イワカガミ尾根と命名。花のシーズンに来たらすばらしいお花畑が見られるはずだ。

傾斜が緩むとすぐに登山道へ合流。今回も予想以上に時間がかかってしまった。この尾根を歩く人はみな健脚なので、私たちの場合は彼らのコースタイムをかなり水増しして計画しないといけないことをあらためて痛感した。

大谷ヶ丸で遅めの昼食休憩をとる。展望はあまりないが、広々として気持ちがいいところだ。今回は本格的なかき揚げうどんで温まっていると、大鹿峠方面から単独の若者がやってきた。

たどったコースをきいて驚いたのなんのって。なんと笹子駅から笹子峠経由で笹子雁ケ腹摺山、お坊山、大鹿山を経て大谷ケ丸へやってきたというのだ。人なつこそうな若者の健脚をたたえ、あんこ餅をお裾分け。

あまりゆっくりできないので私たちも出発する。15分ほどで鞍部の米背負峠に降り立つ。広場のような峠だ。オオゴ沢側をのぞくがとても道があったとは思えない急斜面だ。

きっと近くの緩い尾根伝いに沢に下っているのではないかなどと推察しながら、往年の様子を想像してみる。米背負沢側は緩やかなジグザグの道で、いかにも米俵を背負って歩かれていたような雰囲気を感じた。

しばらく下ると沢沿いの道となり、何度も小沢を渡るように道は続いている。テープがないとわかりにくいかもしれないが、沢の両岸は開けて明るい。なにもない小沢だが、自然林なので新緑や紅葉のときは雰囲気が良さそだ。あっという間に林道終点へ降り立つ。

ここからは車も通れる立派な舗装道路となり、気楽ではあるがとにかく長い。トンネル手前で再び山道をたどってバスも通っている車道へ。いい加減林道歩きに飽きて来たが、ここからさらに甲斐大和駅まで車道歩きだ。

車が通るたびに振り返っていると、何台目かでついにヒッチハイクに成功。止まってくれた車に小躍りしながら感謝し、いそいそと乗り込んで駅まで乗せていただいた。天目山温泉は強いアルカリ湯だけれども肌にやさしく人気の湯とのこと。機会があれば行ってみたい。ヒッチハイクのおかげで前回と同じ時刻の電車に乗り、余裕の帰宅となった。

金山神社7:40~キリメ峠8:00~大久保山9:45~岡松ノ峰10:40~ホリヌキドウミ12:00~登山道12:45~大谷ケ丸13:00/13:40~米背負峠14:00/14:10~林道終点14:40/14:50~竜門橋手前15:50~ヒッチハイク~甲斐大和駅16:00