ブナの沢旅ブナの沢旅
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2010.11.28
小糸川三間川
カテゴリー:

2010年11月28日

メンバー:ako、sugi

 

そろそろ雪山シーズンの到来だが、房総半島ではこれからが沢のシーズン始まりだ。ヒルやマムシもおとなしくなり、あまり濡れずに日溜まり沢ハイキングを楽しむことができる。これまでも年末年始に何回か房総の沢歩き(梨沢土沢・四郎治沢)をしてきたが、2年ほど前にキンダン川に行って沢の荒れようにがっかりして以来、しばらく遠ざかっていた。

今回は、風邪が長引いて体調不良だけれど軽くどこかに行きたい自分と、ちょっとした手術をして軽くリハビリ山行をしたいsugiさんの希望が一致して、久しぶりの房総半島となった。こんなときにと引き出しに入れていたのが、小糸川水系の三間(さんま)川だった。

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自宅が高速道路の入り口に近いので早朝家の近くまで車で迎えに来てもらい、アクアライン経由で三島湖の先の奥米台へ向う。奥米台トンネル手前の空き地に車を止め、トンネル左手にあるもう一つの小さな素堀のトンネルを越えて沢に下っていった。

所々藪がうるさいが、道は明瞭だ。途中の橋を渡って降り立った三間川はなんの変哲もない普通の川で所々深くなっているため、しばらくは川沿いの踏み跡をたどる。

いきなり大岩壁があらわれ、見上げると紅葉が岩壁に咲いた花のようできれいだ。すぐに左手がひらけ、少し高くなった平地に家が見えた。そして川原まで刈払いされた道が続いていた。そこでようやく納得。トンネルより300mほど手前にある道を左に入って行けばこの家に突き当たり、簡単に沢におりられたのだ。

入渓点を間違えて少しガックリしたけれど、大して違いはないと自分を慰めて先に進むとしだいに予想した沢らしくなってきた。天気もよく、所々紅葉が水面に映えて美しい。

ほとんど傾斜のない平瀬のナメとなり、両岸の地層や沢床の断層を興味深く眺めながら歩いて行くと沢幅が広がり、前方に沢幅一杯に広がる階段状のナメ滝が見えてきた。房総の沢とは思えない立派な滝で、歓声を上げずにはいられない。地元の人はドンドンの滝と呼んでいるらしい。やっぱり来てよかったねーと足取りも軽くホクホク顔で滝上へ。ちゃんと写真撮ってねと、しっかり注文も忘れない。

滝上の先にも幅広の小滝がつづき楽しいところだ。再び平瀬となるころ沢に太陽が燦々と降りそそぎ、滑らかな水面にきれいなシルエットを写しだしている。なんにもないけれど、とても無邪気な気持ちになれて楽しい。そしてヒタヒタと、しばらくは穏やかな沢ハイキングが続き、川はU字型に大きく蛇行していく。

少し長いなあと思うころ、前方左手に滝が見えてきた。三間川随一の「大滝」である開墾場の滝だ。滝の上は尾根をくりぬいたトンネルになっている。この滝は、蛇行する川を川廻しして耕作地を開墾する工事でできた滝だという。かなりの傾斜があり直登は不可能だが、両側にロープが垂れていた。一見右手の方が登りやすそうに見えるが、滝上におりられず尾根に追い上げられてしまいそうだ。

左側のロープで途中の段差までほとんどゴボウで登り、ここから樹林の斜面の踏み跡をたどって滝の落ち口の高さで水流近くにトラバースして最後はロープを頼りに落ち口に着地。先行したsugiさんは簡単に着地したが、私は最後の一歩が踏み出せずヒヤヒヤした。

滝下を見るといつの間にか単独の男性が追いついて写真を撮っていたので、二人で思わずポーズ。トンネルの中で休憩しているとあっという間に上がってきた。長靴姿の沢慣れした人のよう。うれしくて挨拶をすると、冬の季節に房総の沢をよく訪れているとのことで、いろいろと話を聞くことができた。

その後も平ナメがつづき、頭上の紅葉を愛でたり、沢床の造形に興味をおぼえながら進んだ。緩やかな丘のようなナメ滝を越え、右手の絶壁から崩れ落ちたと思われる巨岩が横たわる小滝を越えるとトンネルから流れ出る小滝が見えてきた。天上の低い素堀のトンネルの中もナメ床だが、所々深みがあるので暗い足下を恐る恐る進んでトンネルを抜けた。

トンネル出口の右手には古い水道施設があり、トンネルの上を通って入る林道へ抜ける階段があった。まだ時間も早いので先に進むと、今度は沢の中に古いコンクリートの道ができていることに気づいた。なんだか不思議な光景だったが、しばらくして理由が判明。コンクリートの下には水道管が通っていたのだ。川廻しのトンネルといい、水道管の沢床への埋め込みといい、人々の営みが随所に感じられて興味深い。

それにしても蛇行の多い川だ。三間も流れると山に突き当たって急カーブができるところから三間川という名前がつけられたらしい。それにしても荒れた様子もなく、平瀬のナメは何所までも続く。堰堤があらわれたので、そろそろナメも終わりかと思ったが、沢床はさらに滑らかさをまし、ほとんど流れが感じられないほどだ。

左岸に白い岩壁の地層があらわれ独特の美しさを醸し出している。再び堰堤を越えるとさすがにそろそろ感が漂ってきた。三間林道が沢に近づくところで遡行を終了することにして、その前に川原で早めの昼食休憩をとることにした。

温かい鍋焼きうどんとお汁粉でピクニック。すこし風はあるけれどもとても暖かい風だ。予想以上にいい沢だったねと、すでに遡行を終えた気分でまったりとした時をすごす。

1時間ほど休んですこし進むと左手上のの樹林越しに白いガードレールが見えてきた。斜面の踏み跡を上がり始めたsugiさんに続こうとしたら手前に小さなトンネルが目に入った。

急いで呼び止めトンネルの枝沢に入ってみると、出口のすこし上が林道だった。落ち葉の斜面を上がると立派な車道が通っていたが、地図で見るとすこし先で行き止まりになっている。

靴を履き替え、三間林道から関東ふれあいの道となっている林道をへて奥米林道へ。途中かつての集落跡と思われる見晴らしのいい開けた空間に足を踏み入れてみると、廃屋の跡が未だ生々しい。

さらに山太郎、旧太郎の集落を通り、今でもこのような山奥にすんでいる人たちがいることが新鮮な驚きだった。桃源郷のような民家の庭先の美しい花や紅葉に見とれたりで、興味の尽きない林道を歩いてあっという間に車に戻った。

ものの本によれば、奥米の地は大和朝廷成立期にヤマトタケルと土着民のアクル王が死闘を繰り広げた地とか。さらには、源頼朝が再起の力を蓄えた地でもあるらしい。一千年にわたる歴史と言い伝えを抱いた人々の暮らしを感じながらの、いつもとは違った沢ハイキングを楽しんだ、穏やかな晩秋の一日となった。

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奥米台林道駐車地点8:00ー入渓8:20ー昼食休憩11:10/12:05ー三間林道12:20/12:40ー駐車地点13:30