ブナの沢旅ブナの沢旅
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2010.08.13
大源太川北沢本谷
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2010年8月13日

 

ブナの沢旅をより充実させるためには、どこかで自分たちの力量を見極めて今後の課題を明確にしなければならない。つまり、どうしても行きたい沢がある。だけど今の自分には行く自信がない。どうしたら希望を叶えることができるのだろうというわけだ。最近は切実にもっと力をつけたいと思う。

というわけで、先週に続きパワーアップシリーズ第二弾として、初級者のトレーニングにうっての大源太川北沢本谷を計画した。経験者について行けば初級者でも楽しめるのだろうが、自力で遡行するとなると話は別。果たして結果はいかに・・・

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登山口から川沿いの道を歩き、二度目の徒渉点である材木沢出合いで沢装備をつけて入渓。沢にはトラロープがかかっていて対岸に赤テープがベタ打ちしてある。増水のときは登山靴での徒渉はむずかしそうだ。入渓してしばらくは穏やかな渓相で、しばらくすると小滝が続く。普通の沢だなあと思っていると前方に4条6m滝があらわれ、雰囲気が上越の沢らしくなる。なかなか見栄えのする滝で、左の水流を簡単に登れる。

深い釜を持った4m滝は釜を左手からトラバースして滝下へ進み滝の左側を登った。右壁へ泳いで取り付くというガイドもあったが、左側は腰くらいの水位で回り込める。すぐに七ツ小屋裏沢が出合う。その後小難しい小滝が続くが、小さく巻いたりシャワークライムしたりでクリアしていく。小滝群が終わるとしばらくは階段状のゴーロとなり、少し間延びした感じを受けたところで左岸の崖上から連続してシャワーのように滝が降り注ぎ、思わずおおっーという景観となってメリハリがつく。

沢が右に曲がるところで、水しぶきが飛び出して見える。近づくと7m滝だった。垂直に近く威圧的だが、右壁に手がかりが豊富だ。下でシャワーを浴びて取り付けば、あとは快適なクライミング。なかなか爽快なり。すぐに印象的な形状の10mナメ滝があらわれる。端正な姿が美しい。ここは迷うことなく一番左のクラック沿いを登る。次々と特徴のある登 れる滝があらわれ、とても楽しいところだ。

しばらく進むと前方右手に勢いよく水を落とす30大滝が見えてきた。いよいよ核心部の登場だ。沢は三俣となっており、右の大滝が七ツ小屋沢出合。進むべき北沢本谷は左に曲がってようやく見えてきた。ここには核心となる20m大滝がかかっている。最近のガイドでは出合いの8m滝とその上の2段15m滝に分けているが、その方が正確かもしれない。

とにかく出合いの8m滝を右壁から登ってルートを考えることにした。といっても直登は無理なので、右のリッジを登ることに。取り付きで少し苦労するが上部は問題なく、灌木帯にたどり着けた。ふぅっ、抜けられた。ここはロープを出すかどうか迷ったが、悪いのは最初だけなので頑張ってノーロープとした。けれど安心するのは少し早すぎたようだった。

灌木帯の明瞭な踏み跡をたどったのはいいのだが、次第に沢から離れてしまいどんどん上に追い上げられてしまう。何とかトラバースして降り口を探ろうとしたけれどうまくいかず、戻ってやり直すことに。ここで30分ほどロスタイム。もっと下で滝の落ち口方向にトラバースすべきだったと反省。沢に戻ってヤレヤレと思うまもなく、3段12m滝へ。右から取り付き、中段で左にトラバースをして水流を浴びて左へ移って直上。トラバースするところがいやらしく緊張したが、何とか直登できてよかった。

さて、次は7m3段チムニー滝の登場だ。近年下部が倒木でふさがれていたらしいが、すっきりときれいになっていた。確かにとても狭いチムニーだが、もろにシャワーを浴びることをいとわなければチャレンジしがいがありそうに見える。けれど、すでに十分チャレンジしてきたのでノーサンキューという気分。右側の細い水流の窪をずり上がって小さく巻いた。

さあ、もう悪いところは終わったはずと、小滝群を越えていく。ところが一カ所、落ち口から傾斜の強いナメに上がるところで頭をひねってしまう。そして安易に踏み跡をたどって巻こうとして行き詰まってしまった。引き返してもう一度トライしたら手立てはあったので、悔しい思いをする。ここで再び20分のロスタイム。

しだいに傾斜が増し、スラブ帯となる。10mスラブ滝は上段で手がかりが乏しくなり、細い岩の隙間になんとかスタンスを求めて「火事場の馬鹿力」的気合いで乗り越える。ものすごく怖かったが、抜けたときはものすごく嬉しかった。ここは足場の安定したところまで登ってからロープを出したが、補助ロープで長さが足りなくなる。このときのコミュニケーションがうまくいかず、もう一つの反省点となった。

できるだけ窪に沿って沢筋をたどると、目の前には草付きスラブの大伽藍が広がり、圧巻だ。傾斜はきついが、快適なスラブ登りを楽しむ。ガスが出てきたが、いつの間にか視界がクリアに。見下ろすと下は依然ガス。抜けたのね。稜線が見えてきて、右手には七つ小屋山が近い。あとは鞍部を目指すのみ。最後は軽い笹藪を抜けて登山道に飛び出した。

予想外のロスタイムが1時間弱。時間がかかってしまったけれど、自力でやり通せたことが嬉しかった。初級というなかれ、という難易度だった。山並みの間に雲がたなびき、快晴とは違う美しい光景が広がっている。山頂は目前なので、靴を履き替え空身で山頂を目指す。10分もかからずに山頂へ。さすがにすばらしい展望だ。地図を広げて山座同定を楽しむ。

去年ナルミズ沢を遡行してから清水峠へ抜けたとき、大源太山の鋭峰が印象的だったが、今度はその山頂から朝日岳へつづく稜線が目の前だ。巻機山へ続く稜線を目で追い、あの山の向こうの谷に思いをはせる。こうしていろいろな山が自分の中でつながっていくのはこの上なく嬉しいことであり、大切な宝物。

あとは登山道のヤスケ尾根を下るだけと思ったが、滑りやすくてとても歩きにくく神経をすり減らしながらの下山となった。けれど展望はすばらしく、左手には深く切れ込んだ北 沢本谷が一望できる。徒渉点に戻ったときは心底ホットし、あらためて互いの健闘をねぎらったのだった。

現状を知り、問題点を認識して今後につなげていく。なんにでも当てはまるこうした原則を沢登りでも再認識させられた有意義な山行となった。

大源太登山口駐車場6:00-入渓6:30/6:55-三俣9:15/9:30-登山道13:55/14:10-大源太山 14:20/14:30-大源太山登山口駐車場16:55