ブナの沢旅ブナの沢旅
▲トップページへ
2010.07.11
笛吹川西沢行者谷
カテゴリー:

2010年7月11日

 

行者谷は、人気の観光地西沢渓谷の遊歩道終了点を少し奥に入ったところにある、地図では水線もない小さな沢。けれど水量が多い梅雨時の遡行では、思いのほか楽しむことができる苔のしっとりとした静かな沢だった。

前夜、伊勢原駅でsumire車にピックアップしてもらい、仮眠場所の道の駅みとみへ。mikkoさんとは2年半前に堂平と弁天杉の山行にsumireさんを通して外部参加させてもらって以来の再会となる。翌日は4時起床なので到着後すぐに就寝となるが、シュラフカバーだけだったので寒かった。

天気予報では午後から雨模様らしいので、5時半前には出発。西沢渓谷沿いの遊歩道はとても良く整備されている。今回の楽しみの一つは、写真でしか見たことのない五段の滝七つ釜。わざわざこのためだけに来ることは無いので、ちょうどいい機会となった。水量が多くとても迫力があり、美っと綺麗なんだろうなあ。

行者谷0 行者谷1

心配していた行者谷出合の朽ち果てた木橋はすでに崩壊していた。けれど橋が無くても簡単に沢に下りられたので、みんなで拍子抜けしてしまう。沢幅は一跨ぎほどだが、両岸が開けているので開放感がある。すぐに6m二条ナメ滝となるが、水量が多くて本日は三条滝。左から取り付けるようだが水量が多くていやらしいため右側を小さくまく。急登ゴーロのような小滝がつづき、どんどん登って行く。きれいな8m2段滝も上段は右を小さく巻く。すべて巻きも簡単なり。

トイ状滝や10m(?)石積風の滝をやりすごすと、今までで一番大きな滝が前方に。一見登れそうにないが、左壁に古いクサリがかかっていた。Takkaさんは果敢に鎖ルートを登っていったが、ある記録では滝中央の方が簡単だとあったので、女性陣は上からお助け紐を出してもらい、滝をシャワークライムして抜けた。沢ハイキングだと思っていたが、水量が多いおかげで、ここまで予想以上に楽しい沢登りができた。

すぐに1590mの二俣となり傾斜も緩んでぐっと穏やかとなる。左俣には入るとナメとナメ滝がつづくようになり、いい雰囲気だ。所々倒木があって少し荒れているのが残念。見栄えのする3段15m滝を快適に登ると、そろそろ源頭部の様相となる。あたりは開け、しっとりと苔むした渓相はいかにも奥秩父の沢。

最後まで谷筋をたどり1950m付近で尾根にのる。コンパスを頼りに登山道方向をめざし、少しの藪こぎで2021m直下の岩峰へ。沢登から最後はアルパインもどきで楽しいねーと、みんなで大喜び。正面に甲武信ヶ岳が大きい。眼下の深い谷の奥に巨大な白い堰堤群が異様さを誇示しているように見える。雨が降り出したので先を急ぐことに。

山頂を巻くようにトラバースすると登山道と合流。ここでみんなでお疲れ様の握手をして沢装備をとく。黒金山登山道はまさに石楠花の道で赤テープも多く、よく歩かれている道のようだった。1時間ほどで登山口に下り、復路は右岸沿いの遊歩道をたどる。途中から雨は本降りとなるが、樹林の中なので気になることなく駐車場に戻ることができた。

人気の散策路も歩けたし、水量が多くても安心して遡行できる静かな沢を楽しみ、岩峰を登って展望も得られたしと、天候不順のこの時期に、短いながら変化にとんだルートを楽しむことができた1日となった。

行者谷2 行者谷3

行者谷4 行者谷5

行者谷6 行者谷8

西沢渓谷駐車場5:20-行者谷出合7:45-二俣9:00-2021m峰直下10:50-遊歩道12:25-駐車場13:40