ブナの沢旅ブナの沢旅
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2010.07.31
片品川センノ沢
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2010年7月31日

 

尾瀬の沢を詰めて湿原へ!シリーズ第三弾と称して片品川のセンノ沢へ行ってきた(ちなみ1回目は小淵沢、2回目は北岐沢)。

新宿から夜行バスで大清水に着いたのは明け方の3時半。少しでも体を休めようと休憩所の軒下でツェルトをかぶって横になっているとツアーバスや車がどんどんやってくる。あまり眠れないまま5時過ぎに出発して一ノ瀬休憩所へ。ここで沢装備を付け、三平橋を渡って右手の階段を下りて川床へ。センノ沢は橋をくぐって左から合流する藪っぽい小沢で、知らなければ見過ごしてしまいそうだ。

ゴーロの沢を右へ曲がると沢幅が広がって明るくなり、前方に6mナメ滝が見える。ここからが遡行意欲をそそられる沢登りとなる。階段状なのだが岩壁はかなりぬめっている。できるだけぬめりのない水際を慎重に登ると、滝上からは期待のナメの始まり、始まり・・・

陽の光を浴びた茶褐色のナメ床がずっと続く中を、ゆったりヒタヒタと歩く快感はなにものにもかえがたいものがある。この幸せをもとめて日々アンテナを張り巡らしているのだもの。ナメが途切れると小滝がいくつか連続するが、どれも簡単に登ることができてとても楽しい。ちょっと大きな8mも階段状なので、積極的に水中を登っていける。いやー、ほんとに楽しい。

少し弛んだあと再びナメがつづくが、少し小ぶりとなり所々藪がかぶさる。意外と長くナメが続いて1560mの二俣へ。左へ入って小滝を越えるとしだいに沢は緑のみずみずしい平瀬となり、小川の風情となる。早くも源頭部の様相なのかなあと思っていると再び沢幅が広がって苔の点在する白糸状のナメとなり、とても美しい。

そのナメが終わるとさすがに平凡となり、ボサがわずらわしくなる。1670m二俣は最初水流につられて左に入ってしまうがすぐに気づいて軌道修正。左が白尾山に突き上げる本流なのだが、今回はセン沢田代につめることが目的なので右へ進む。1700mの二俣も右へ進むが、このあたりから地図にあらわれない分岐が何箇所か出てきたので、コンパスで方向を確認しながら沢型が比較的明瞭な藪沢へ進む。けれど途中から藪の中に消えてしまい、あとは覚悟の藪こぎに。

かなり高度を上げたのに一向に藪から開放されず、不安になっていく。どうもおかしいと思っていると水の流れている小沢に出た。sumireさんのGPSで緯度経度を確認してもらうと、思いもしない地点に振られてしまったらしいことが判明。

この小沢をつめれば尾根のどこかには出られるはずだが、藪こぎ必須だし田代をはずすことになってしまうので、沢を下って現在地のわかる振り出しに戻ることにした。コンパスで方向を確認していたのにどうして違う方向に行ってしまったのか納得いかなかったけれど、とにかく気を取り直してもう一度トライ。

そしてようやくそれほど藪こぎもせずに登山道に抜けることができたのだが、肝心の田代をはずしてしまう。ガッカリ。なのだが、とにかく登山道へ出られたのでよしとすることに。さあ、田代を探さなくては。登山道を鞍部まで下っていくと、左手の藪の隙間から緑の空間が見えた。ようやく見つけた!sumireさーん、見つけたよーと歓喜の声が森にこだまする(なんちゃって・・・)。樹林に囲まれた小さなセン沢田代。私たちのささやかな遡行の到達点にふさわしい、控えめなたたずまいがとてもいとおしい。

詰めの読図がうまくいかずに1時間のロスをしてしまった。当初は白尾山から柳沢を下降する予定だったが、バスの時間という制約があるので厳しくなってきた。皿伏山から尾瀬沼経由で下山しても予定時間はほぼ同じなのだが、登山道と違い沢下降には余裕が欲しい。白尾山に思い出のあるSumireさんには申し訳なかったけれど、安心コースで下山することにした。

沢装備をといてハイカーとなり、まずはシラビソの森を抜けて皿伏山へ。いろいろな鳥の鳴き声が聞え、sumireさんはああだこうだと言っている。鳥の鳴き声を聞き分け、草花がわかれば山歩きももっと豊かなものになるだろうなあといつも思うのだけれど、まあ、老後の楽しみとしよう。

皿伏山の山頂は樹林の中で展望がない。このコースはマイナーコースなのか、誰とも会わず静かだった。大清水平方面へ進むと湿原があらわれ、ワタスゲやリュウキンカが咲き乱れていた。ここからは燧ケ岳が臨まれ、尾瀬らしい雰囲気になってきた。さらに行くと広い静寂の湿原、大清水平へ。寂しいくらいひっそりとたたずんでいる。

大清水平を横切って再び樹林帯を下ると沼尻と三平下を分ける分岐へ。ここからはメインルートとなるのか、急に人臭くなって俗世界へ下ってきた気分となる。ようやく尾瀬沼休憩所にたどり着いたときには熱さでバテバテ。

遅い昼食をとって一休みし、大清水へと下ると、山小屋泊まりらしい多くのハイカーが続々と登ってくる。尾瀬の人気振りを改めて実感するとともに、ナメの素敵なセンノ沢を楽しく遡行し、セン沢田代から大清水平と、誰もいない静かな湿原を歩けた幸いをかみしめながら、最後はブナの森を下って大清水へと戻った。

 

 

 

大清水5:15-一ノ瀬休憩所6:10/6:40-入渓6:45-登山道10:35(この間1時間のロス)-セン沢田代10:40-皿伏山11:50-尾瀬沼休憩所13:20/40-大清水15:40