ブナの沢旅ブナの沢旅
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2010.01.16
北泉ヶ岳~泉ヶ岳
カテゴリー:雪山

2010年1月16-17日

 

当初は南会津の山を予定していたのですが、どうも天気が芳しくない。関東以北の山はどこも雪マーク。さてどうしたものか・・・八ヶ岳方面は天気はいいけれど、なぜか食指が動かない。そこでようやく選んだのが、唯一晴れマークがついていた仙台の「丹沢」、泉ヶ岳だった。以前から、北泉ヶ岳から船形山へ続くブナ原生林の長倉尾根に関心があったので、現地で様子を見ながらのんびりシューハイキングを楽しむことにした。

仙台から地下鉄で泉中央駅へ。惜しいことに新幹線の始発ではスキー場行きのバスに5分だけ合わず、タクシーで移動する。雪のほとんどない街から数十分で雪山に行けるのかしらと思ってしまうが、さすが東北。しだいに雪景色となり、スキー場は休日でにぎわっていた。リフトを期待したが、規則で登山客は乗せられないといわれ、スノーシューをはいてゲレンデ脇を歩き始める。天候は曇り時々晴れ、ときどき吹雪。

ゲレンデ上から北泉ケ岳の尾根に乗るルートは迷いそうだが、これから山頂に行くという地元スキーヤーから情報をもらい、樹林に入ると新しいスキーのトレースがついていた。今回は、雪のブナの森をスノーシューでのんびり歩くことが目的なので、北泉ヶ岳から先は特に目標を定めなかった。

粉雪が舞うものの、森の中を歩くのはとても清々しく気持ちがいい。あたりはブナとミズナラ、ダケカンバの混合林から、しだいにブナが卓越するようになる。最後は斜面をジグザグに登って尾根の鞍部に出るあたりで、先ほどの単独のスキーヤーが雪煙を上げながら滑り降りていった。あれっ、いつの間に?

しだいに青空が広がり始め、期待がふくらむ。新雪は膝下ほどの深さだが、トレースがあるのでラクチン。しばらく進むと行く手にラッセルしながら進んでいる先行者の姿。すぐに追いつき、お礼を言ってラッセル部隊に加えてもらう。あれっ、先ほどの単独スキーヤーの男性もいる・・・いつの間に登ったのだろう。すごい人だなあ。

膝くらいの深さでも、傾斜が増すとけっこう厳しく、5人で交代する時間がだんだん短くなっていく。こういう経験は初めてなので楽しかった。途中Yさんが先頭の時に穴にはまって転んでしまう。先がつかえると悪いと思い先頭を交代してひたすら進み振り返ると、まだ後ろで四苦八苦しており、他のパーティーの女性に引っ張り上げられようとしていた。我が弱小パーティのリーダーが対応すべきなのにと、申し訳ない。

山頂は標識が埋もれていたので通り過ぎそうになったが、勝手知る地元男性がすぐに掘り起こしてくれて確認。3組5人のにわかラッセル部隊は互いに労をねぎらい、それぞれのルートへ散っていった。視界は悪く、強風で未知のルートを下っていくのは不安もあったが、地図でルートを再確認し、とりあえず下っていくことにした。

緩やかな下りなので雪を蹴散らし快適に下るわけに行かず、平坦地のラッセルをしているようでなかなか進まない。強風は轟音を上げて吹きすさび、顔が痛い。振り返るとsugiさんの顔も真っ赤になっていた。危険を感じ始め、意地で進むこともないので、あっさりと戻ることに。

山頂に戻ったところで、さあ、これからどうしよう。あれこれ思案するもあまり選択肢はない。結局翌日に予定していた泉ケ岳方向に進んで、風のない樹林帯で早々とテントを張ることにした。登りではゆっくりできなかったブナの大木を愛でながら三叉路へ下っていくとゴーゴーと鳴る風も遠のき、辺りはしんしんと小雪が舞う幻想的な光景となってきた。

三叉路から先は、踏み跡もないまっさらな雪の世界。少し進んだ平らな場所にブナの大木の空間があった。ここにテントを張ろうと近づいたところ、なんと樹径が太すぎてタープを張るロープが足りない。ちょっと残念だったけれど、場所を変えて設営の準備。モタモタしているとすぐに雪が積もってしまう。迅速にタープを張り、テントを設営して荷物を収納することに慣れなければいけない。

中に入ってホッと一息。それにしても寒い。考えてみれば、昨年は暖冬のため厳冬期でもあまり苦労せずに雪山を楽しむことができたし、山小屋泊まりだったので、通常のこの時期のテント泊は初めての経験なのだ。遅い昼食で温まり、そのままささやかな宴会モードになだれ込み、早々とシュラフに潜った。小雪が舞い続け、タープの雪を落とそうと夜中外に出ると、樹林越しに遠く明かりが見えた。どんな厳しい天候の中で遊んでいても、麓の灯りが見えるこの距離感が、心の安寧を与えてくれる。

翌朝外に出てみるとタープが3分の1ほど雪で埋もれ、トレースは完全に消えていた。立スノーシューが雪に埋もれて行方不明となり、少しあせる。一晩の小雪でこれ位なので、本降りだったら大変なことになると思った。そういえばと、昔わらじの会が正月山行で飯豊に入ったときに豪雪につかまり、埋没したテントを掘り出せずに放棄したという興味深い記録を思い出した。(創立五十周年記念誌「飯豊」に掲載)

6時起床の8時半出発という、いつもながらのゆったりモードで出発。雪はやみ薄曇の中、せめて泉ケ岳まで頑張ろうとラッセルにいそしむ。雪は重からず軽からずで、私達にとっては程よい按配。いい感じで楽しみながら進んでいくと、意外にも行く手から単独の男性が下ってきた。嬉しいような、がっかりのような複雑な気持ちだ。情報交換をしてから先はトレースを進む。

緩やかに高度を上げるにつれ北泉ケ岳が見渡せるようになり、展望が開けて気持ちがいい。北泉ヶ岳の山腹のブナが白いモコモコを波打たせていて、全山ブナの山だということがわかる。一方の泉ヶ岳は1000m位から早々と低潅木帯となり、際立った林層の違いが感じられる。方位柱のある山頂に到着。山名標識がないのでおかしいなと思いながらザックをおくと、もうひと山先に山頂標識が見えたのであわててそちらに移動。

地図を見ると3m低い広く平坦な山頂に三角点マークが付いている。誰もいない山頂で休んでいると単独の男性が登ってきた。メタボ対策で毎週登っているとのこと。ドコカの誰かさんに聞かせてやりたい言葉です。それだけ気軽に登れて親しまれている山なのだろう。積雪期は一番緩やかな水神コースが一般的とのことで、私達もこのコースを下ることにした。展望がよくて気持ちのいいコースだ。

下り始めてすれ違った単独の女性と話を交わし、東京から来てブナの樹林帯で泊ったことやブナの山が好きだというようなことを伝えると、はるばるやって来たことをとても喜んでくれ、残雪期の若葉のときはそれはそれはきれいですよと、教えてくれた。その景色を想像するだけでワクワクしてしまう。さっそくsugiさんに5月に来ようねーと宣言。積雪期の船形山は遠く、なかなか近づけないのだが、今回歩けなかった長倉尾根と船形山を是非つないでみたい。

下るにつれ晴天が広がり、グループのハイカーが続々と登ってくる。まるで時間帯で単独とグループの棲み分けができているみたいだ。何十人もの人たちとすれ違い、野外活動センターのある登山口へ下山。バスの時間にはまだ早いので、小川沿いにある東屋で温かいぜんざいをすすって一休み。短いコースになってしまったけれど、ブナの森にこだわった東北の雪山歩きを、この時期に実現できたことは収穫であった。

 

 

16日 スキー場10:00-北泉ヶ岳13:00-三叉路テンバ14:15

17日 テンバ8:30-泉ヶ岳10:05-登山口12:20