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2009.08.02
赤谷川笹穴沢 (撤退)
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2009年8月2日

 

「奥利根・谷川連峰の沢」で笹穴沢のS字条に流れる雄大かつ優雅な大ナメ滝の写真に釘付けとなって以来、いつか行きたいと願っていました。そんな折samさんからプランお任せのお誘いが。谷川の日帰りコースにしようと伝えたものの、笹穴沢は有名どころなのでsamさん好みではないと控えていたところ、思いもかけない言葉が返ってきました。谷川なら笹あ・・・、最後まで言葉を聞くまでもなく(あくまでもメールを読んだときの気持ちを表現したものです)、笹穴!キャー行きたーい、と飛びついて実現したのでした。

今回は4人パーティです。初めてお会いするねこさんに上毛高原駅で拾ってもらい、下山予定の元橋に車を置いてきた男性陣(samさんと、やはり初顔合わせのkukenさん)と赤谷ポケットパークで合流。翌朝川古温泉に移動。天気予報では曇りのち雨。笹穴沢は条件のいいときに行きたかったのでsamさんに打診したところ、変更の予定はなさそうだったので、成り行きに任せることにしました。

赤谷林道から笹穴沢出合に降り立つと、去年遡行した赤谷川本谷を思い出しました。こんなに早くまた赤谷の沢に来ることができ幸せ者です。長いコースなので早立ちを心がけ、5時出発で7時前には遡行開始。出だしのゴルジュを巻けば、しばらくは大岩のゴーロをウォーミングアップよろしく歩いていきます。

金山沢までは平凡ですが、スケール感があって好ましい渓相です。途中小さく巻いた台地に、焚き火の跡があるテンバがありました。水量豊かな15m滝も左壁の斜面をすたすた。順調なペースで進みましたが、やはりというか、金山沢出合近くから雨が降り出しました。

近場の小さな沢ならそのまま遡行もできるでしょうが、長丁場でスラブ滝が続きます。予報では午後から雨。みんなで相談して、撤退することに決めました。また来なさいということよねと、気持ちを切り替えすがすがしい気分です。

でもまだ9時前。このまま無為に帰ってなるものかと、samリーダーは地図とにらめっこ。枝沢から大源太山からの登山道が通る1684m峰に詰めようと宣言します。地図を見ると下部は岩マークがあり急峻ですが、時間もあることだし、言い出したら聞かないし、ということでとりあえず行ってみることにしました。

出合の藪をかき分け、ほとんど水もなく浮き石だらけのガレ窪を登っていくと果たせるかな、大岸壁に阻まれてしまいました。samさんは楽しそうに張切って登って行きましたが確保なしでは危険なところです。

上からロープを出してもらいましたが、後発組一番手のkukenさんが最後のハングで苦戦。即席アブミの操作もままならない状態です。見かねたねこさんが右手奥に岩がない斜面を見つけ、女性陣はトラバースして岩壁を巻いて抜けました。全員集合してからも、岩壁を避けるように沢筋から離れて急斜面を潅木をたよりにずり上がっていきますが、さらに試練は続きます。

「何でこんな難行をしなきゃいけないのぉー」

「誰かが泣かないとだめだな」

こんな会話で気を紛らわしながら、ようやく枝尾根らしきところにはいずりあがったと思ったら、予想外の地形です。行く手を阻まれてしまったのです。さすがのリーダーも観念した様子。ようやく降りることになりました。

負け惜しみか、気が済んだからいいんだと言っています。気が済んだなんて、と思いましたが、kukenさんと安堵の顔を見合わせ、これで生還できるねーとホッと一息でした。なんだか駄々をこねた子どもの遊びに付き合わされて疲れてしまった大人の気分です。

下りは30mロープをつないで数回の懸垂下降。すべてsamさんが手際よくセットし下降コースの調整もバッチリでした。沢床に降り立ったときの嬉しかったこと!泥だらけの身の回りを沢で洗い流して一息つきました。結局半日たっぷり遊んでしまいました。これだったら笹穴沢行った方がよかったかもと誰もが思ったでしょうが、まあこれはこれで、悪い高巻や源頭部の詰めの実地トレーニングになりました。

出合いに戻るころふたたび雨が降り出しましたが、せっかく用意してきたのでソーメンタイムをとる事に。冒険をしてハラハラもしましたが、思いっきり体を動かし遊んでみな無事に戻ることができたことに感謝してお互いに硬い握手。そしてsamさん持参のビールで乾杯。心地よい疲労感に身を任せながら長い林道を戻り、解散となりました。

笹穴沢1 笹穴沢2

笹穴沢3 笹穴沢4

川古温泉駐車場5:00-笹穴沢出合6:40/53-金山沢出合8:15/30-(枝沢探険)-笹穴沢出合13:50/14:35-川古温泉駐車場16:05