ブナの沢旅ブナの沢旅
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2009.07.25
片品川中岐沢北岐沢
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2009年7月25-26日

 

当初は楢俣川の沢を遡行して至仏山へ登り、別の沢を下降する計画だったが、少し背伸びをしたので天候不良では不安。そのうえメンバー二人ともが仕事疲れで、頑張るのはちょっと・・・という雰囲気。そこで多少の悪天でも楽しめそうな尾瀬の「癒し系」の沢、北岐に変更となった。

JR東の2日パス3500円とレンタカー1日2000円のお得なパッケージで、当日の朝発にて上毛高原駅から大清水へ。予報に反して天気は上々で幸先がいい。大清水からは、1991年に完成後一度も供用されていない奥鬼怒スーパー林道をおよそ1時間半の歩き。入渓点は林道がヘアピンカーブするところなので間違うことはない。

真夏の日差しなのはうれしいが、暑さですでにバテてしまう。木陰でそよ風に吹かれながら一休みしてからいざ出発。ガードレールの切れ目から藪の薄いところをトラバースしていくと枝沢となり、簡単に沢に降りることができた。出合の苔むした階段状の小滝はとても美しい。

北岐沢は悪場がない沢なので気が楽だ。歩き始めるとさっそく前方に青々とした大きな釜を持つ小滝があらわれいい雰囲気。ゴーロはすぐにナメとなる。大きな釜の2条3mを越え、多段のナメを快適に進むと大釜を持つ6m滝があらわれる。左から登るが見た目よりも簡単だった。続く2条5m滝には左岸にワイヤーが垂れていたので、手がかりにさせてもらった。

1時近くなってお腹もすいてきたので木陰の川原で昼食タイム。夏の沢はソーメンを定番にしているのだが、雨模様かもしれなかったので温かいうどんを用意してしまった。当日になり、この暑さでうどんなんて・・と思ったが、木陰で一服すれば涼しく、熱いうどんも美味しく食べることができてホッ。

トイ状のような6m滝は水量も多くとても登れる雰囲気ではない。右岸を小さく巻いて進むと大釜の4段10m滝が前方に。なかなか見栄えのする滝だ。記録ではみな左から登っているが、滝下までの釜が深そうなのであっさりと却下。左岸を小さく巻いて中段から水流沿いを登る。階段状の幅広小滝を過ぎると正面に大岸壁が立ちはだかり壮観である。

少し進むとミニゴルジュとなり、その先にいよいよ15m大滝があらわれる。穏やかな渓相の中では圧巻の眺めだ。見事で美しく、滝壺近くまでへつってしばらくラインを追ってみる。左端が登れそうに見えるが、上部は完全にシャワーとなり厳しそう。

少し戻って左岸を高巻くが、踏み跡がしっかりしている。高巻いたところからは、下からは見えなかった左俣出合の2段25m滝を垣間見ることができた。懸垂で滝の落ち口手前に降りたが、下から見るとロープなしでも降りられそうだった。

沢は再び穏やかな姿となり、岩盤がよく発達したナメとなる。6m斜滝や6m幅広階段状の滝を快適に越えていくと両岸が低くなり、渓相はさらにゆったり穏やかとなって心が和む。このあたりからは緩やかな傾斜のナメ滝が途切れなくつづき、とても美しい景観を作り出している。

ナメラーにとってはまさに北岐沢のハイライトといえるでしょう。時間のたつのも忘れるほど楽しく小滝を越えていくと、左岸からきれいなナメの枝沢が出合う。

そしてすぐに奥の二俣へ。左俣出合手前奥に整地された平地があり、焚き火の跡もある。ここが予定していたテンバだ。夜雨が降るかもしれないのでタープを張り、ダメもとで焚き火を試みるが、やはり連日の雨で枯枝は湿っていた。とりあえず形だけでもと火をおこし、ビールで乾杯。とても快適なテンバだった。

翌朝も晴れている!右俣へ進むが、最初は倒木がわずらわしい。水流は細くなりゴーロ滝が続く。しっとりと苔むしていい感触だ。堰堤のような5m垂直滝を右から越えると源流の様相となる。二俣はすべて右へ進むとあたりが開けて小松湿原へ。

突然あらわれる静かな緑の空間には独特の雰囲気がただよっていた。言葉を失いたたずんでいると、一瞬通り雨となる。まるでロマンチックな仕掛けのよう。ただ、ところどころ鹿に荒らされた形跡が見られることが気になった。日光で起こっていること(鹿の食害)は必ず尾瀬でも起こると警鐘を鳴らしていた千手ケ浜の伊藤さんの言葉が頭によぎる。

湿原を回り込むようにして樹林帯に入り、緩やかな斜面を小沢沿いに登っていくと2,3張の広さのテンバ跡があった。朝から遡行するとこのあたりまで来てしまうのだろう。そこから登山道は一投足の近さだった。今回も読図がうまくいったねと、無邪気に喜ぶ。靴を履き替え、これからはハイキングだ。

緩やかなアップダウンをくりかえし、鬼怒沼山を巻いて進むと、地元の山岳会らしき男性二人にであう。鬼怒沼山山頂の標識を点検にきたらしい。これから鬼怒沼へ行くのだというと、花が咲き乱れていて帰れなくなりますよ、という。そう言われれば期待がふくらまないわけがない。

湿原の北端から足を踏み入れるとまずは、ワタスゲの群生が出迎えてくれた。もう終わっていると思っていたので感激。入り口近くにザックを置き、空身で散策。整備中の木道脇を通っていくと展望が開け、鬼怒沼の全貌が見渡せるようになる。

湿原には黄色い花のキンコウカが咲き乱れている。その中に濃いピンクのサワランや水色の可憐な花(なんだろう?)が点在していて、控えめながらまさに雲上の楽園のよう。池塘が点在し、鬼怒沼山が影を落としている。はるか南には根名草山や日光白根が、北の方向には燧ケ岳も見える。

湿原の南端まで足を伸ばし、散策路を周遊してもどった。出会ったのは3組のハイカーだけで、夏休みの晴れた日曜日だというのにとても静かで好ましかった。

再び登りとなって汗をかきながらたどり着いた物見山は、樹林に囲まれたちょっとした広場のような山頂。さあ、これからは一気に下るだけ、と思ったのだが、物見山新道の尾根道はものすごい急斜面の悪路がつづき、気が休まらない。湯沢の渡渉点に着いたときにはくたくたで、沢水で顔を洗い一息つく。2年前に遡行した大薙沢出合の鉱山跡を懐かしく通り過ぎ、淡々と林道を歩いて賑やかな大清水へもどった。

時間の余裕があったので温泉に立ち寄ることに。最初に目に付いた日帰り入浴の温泉には登山靴がたくさんあって込み合っているようだったので、さらに車を走らせ、結局湯けむり街道を少し入ったところのささの湯へたどり着いた。500円と安く、源泉かけ流しのいい温泉で、尾瀬に来たときにはここがお勧めだと思った。

上毛高原駅につくと電車到着のアナウンスが聞こえ、絶妙のタイミングで最速の新幹線に乗って1時間で帰京。何から何まで快適な沢旅となった。

25日 大清水10:00-入渓点11:20/45-(昼食休憩30分)-二俣13:50-奥の二俣BP16:40

26日 BP6:15-小松湿原7:05-登山道7:50/8:15-鬼怒沼10:20/11:15-物見山11:30/40-物見橋13:40-大清水14:15