ブナの沢旅ブナの沢旅
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2009.07.11
日原川唐松谷
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2009年7月11日

 

当初は、那須の沢を登ってニッコウキスゲの咲く稜線漫歩・・・のはずだったのだが、悪天予報のため計画を変更。最近親しみを増している奥多摩の日原川唐松谷へ日帰り沢登りとなった。ピンチヒッターとして選んだとはいえ、いつか行こうと沢リストで温めていた沢だ。

ずばり結論から。唐松谷は奥多摩の日帰り沢としてピカイチ、一押しの沢だった!

原生林の中を大小の水量豊かな滝をかけ、飽きることがない。前回の小坂志川本流がかわいいベイビーだとすれば、唐松谷には成熟した大人の風格がある。唯一名前のある大滝、野陣ノ滝はステップアップのチャレンジに程よい按配だ。もう一つの美しいけれど登れない大滝の高巻きも適度に面白怖い。楽ではないけれど積極的に水線通しに遡行し、とても充実した沢登りとなった。

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八王子駅からレンタカーで奥多摩へむかう。しばらく通行止めになっていた日原林道が奥まで入れるようになったので、時間に余裕ができたことがありがたい。天候もまずまずで時折薄日がさしている。

唐松谷下降点付近の路肩にはすでに数台の車が止まっており、男女2人パーティが沢支度をしていた。さすが人気の沢。とはいえ、沢中では他に会うことはなく、私たちを含め2パーティだけだったようだ。先行していく彼らを見たsugiさんは、がっちりした体格でいかにも強そうな男性が女性を連れて行くんだよね、われわれはとてもユニークだ・・・とつぶやいている。私だって好き好んで・・と喉もとまで言いかけて、まあ、人それぞれだからと収める。

10分ほど下ってつり橋を渡ると、下に唐松谷出合がみえる。増水しているとは思えないが、確かにとても水量が多い。さっそくあらわれる3mCS滝は登れないので右岸を巻くと釣り人が竿をだしていた。釣師とのトラブルもあるらしいので、形だけとはいえ通っていいですかと、挨拶をすれば問題なかった。

2mほどの斜滝は手前の短い廊下が深そうなのでいったんは左岸を小さく巻きかけたが、最初からこれではイカンと思い直し、水に入ってみると股下ほどで取り付くことができた。一度浸かってしまえばもう気にならない。

ところどころ赤い大岩があらわれ、3~4mほどの水量豊かな小滝をいくつか快適に越えていくと小一時間ほどで見上げた前方に野陣ノ滝ノ下段が見えてきた。近づくと滝下は傾斜のゆるい連瀑帯になっており、あまりの美しさに歓声をあげる。階段を駆け上がるように快適に登り、うっとりしながらしばしフォトセッション。

2段15mの野陣ノ滝は一見登れそうにないが、近づくと水流左脇が階段状になっている。下からは上部がみえず不安もあったが、とりあえずロープを引いて登り始めた。上にいくほどスタンスが外傾してきたが、欲しいところに残置支点がありホッとした。ここから抜け口が悪かったが、いいガバがあったので思い切ってフリクションで登った。やった、とこぶしに力がはいる。かなり勇気がいったが、案外滑らないものだ。

Yさんが上がってくるころには水しぶきで体が冷えてしまい、上段は雨具を着てから登る。下段ほど立っていないがぬめっているので気が抜けない。上部の傾斜が立ってきたところに古い残置が2箇所あったので、上部の一箇所にランニングビレーをとった。その中間には、さっき打ったばかりのような真新しいハーケンもあったが、少しぐらついて頼りなさそうだった。

ここも抜け口が少し悪かった。テラス状の滝上にはちょうどいいところに木の根が張っていてビレー支点に使われ続けている様子だった。さあこれで登るべき滝は登ったしと、はやくも満足感にひたる。

しばらくゴーロとナメ小滝を繰り返し、水にドップリ浸かりながらすすむと、沢が左折するところに逆くの字の2段15m大滝が構えていた。昔は人工ルートがあったらしいが明らかに登れない滝だ。けれど、きりっとした凛々しく美しい滝で、しばらくみとれてしまう。ここは予習どおり左岸手前のガレルンゼから高巻く。

途中トラバースしてスラブ岩を巻いて行けそうに見えるが、ルンゼに阻まれるらしい。我慢して登り続け小尾根に乗ったところでYさんが偵察したところ、下れそうな小尾根が見つかった。ガイドには懸垂下降となっていたが、容易に下ることができた。沢床に下りると穏やかな流れとなっており、これで核心は終わったと安堵する。見上げると、いまだ明るい緑がみずみずしい。

穏やかな川原はすぐに幅広の豪快なナメの連瀑帯となり、ワクワクする。きれいだなあ~楽しいなあ~幸せだなあ~と進んでいくと、深くて大きな釜を持った3段8m滝がみえてきた。取り付きまで行ければ一見登れそうなのだが、よく見るとやはり無理。右岸の巻き道はよく踏まれていた。

巻きあがったところには先行パーティのものらしき新しい残置シュリンゲがかかっていた。ありがたく使わせてもらい10mほどの懸垂で沢床へ。驚いたことに、残置と同じ場所にところどころに結び目がある細いナイロン紐が下まで垂れ下がっていた。釣師はこんな紐で懸垂するのかと思い、ため息がでてしまった。

降りたところの少し先がイモリ谷出合であり、ここで大休憩。つぎつぎと面白い課題をクリアしながら飽きることがなかった。面白くていい沢だったねーと、半ば遡行が終わった気分にひたる。

イモリ谷出合から先もしばらくは同じように面白くいい雰囲気の渓相がつづき、苔むした巨岩帯を越えるとふたたび大ナメがあらわれた。ところどころ倒木もあるのだが、両岸がひらけており煩雑な枝もないのであまり気にならない。びっしりとコケの生えた倒木は再び自然の風景に戻りつつあるようにも見える。

左岸から赤石窪が入ってからは水量も減り、平凡な川原状になっていったので、右手に石積みの林道が見えたあたりで遡行を終えることにした。靴を履き替え、唐松谷に沿って上に引かれた林道をたどると1時間ほどで出合のつり橋にもどることができた。

登山口8:30/50-唐松谷出合9:00-イモリ谷出合12:30/12:50-1320m付近遡行終了点13:45/14:10-唐松谷出合15:05