ブナの沢旅ブナの沢旅
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2009.05.10
泉水谷大黒茂谷
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2009年5月10日

 

ようやく沢登りの季節が始まった。とはいえまだ遠出はできないので、かねてから沢リストに入れていた大菩薩方面の大黒茂谷へ。ガイドには「原生林の中を静かに流れる沢」とか「深山幽谷の趣を残す沢」とあり、記録もおおむね好感触。新緑も見ごろのはずと、出かけたのだが・・・

前夜のうちに三条新橋まで移動するつもりだったが、途中に道の駅の表示があったので車をとめると、のめこい湯の敷地だった。道の駅「たばやま」は先月下旬にオープンしたばかりであることを後で知る。どうりでトイレはピカピカで真新しく、ウォシュレットまで完備してある快適な仮眠場所だった。

翌早朝に三条新橋へ移動すると、やはりゲートは厳重に閉鎖されており、数台の車がとまっていた。ここから泉水谷沿いの林道を1時間ほど歩いて大黒茂谷の出合へ。

奥多摩の山は植林が多いが、さすがにここまで奥に入ると自然林だけで、朝の日差しを浴びた柔らかな新緑がとても美しい。立派な林道だが、ところどころ山側が崩壊して落石があり、これからもずっと閉鎖が続きそうな気配だ。

出合の橋下で沢支度をして入渓。最初は巨岩帯という情報だったが、赤谷川の巨岩帯を経験済みなのでたいしたことはなかった。すぐに大岩5mの滝が豊富な水量を落としている。早朝からシャワークライムは避けたいので、水流左側の岩から越える。

唐突にあらわれる堰堤を左岸の斜面から乗り越すと、穏やかな川原の流れとなる。2mのCS滝は右から巻いて進んでいくと沢幅が狭まり、奥に深そうな釜を持った小滝が連続している。左岸の側壁をへつって取り付いた記録もあるが、ちょっときびしそう。

Yさんがトライしてみるが諦めたようだ。その間私はさっさと手前の岩壁から巻く。1段目の滝上に降り立ち、2段目は右岸の側壁に上がってから外傾したバンドをトラバースして3段目の滝の前へ下りるのだが、足元がいやらしそうだったのでYさんにロープを張りながら先行してもらう。幅広の一番見栄えのする3段目の滝は左端から簡単に登れた。これでひとまず前半の厄介なところが終わり一息入れる。

その後はしばらくゴーロが続き、左岸にきれいな滝を落としている枝沢をすぎると、ようやくナメ床となる。幅広のスダレ状小滝もあらわれ好感触。ふたたび左岸から枝沢を合わせると木橋があらわれる。

泉水十字路から下りている林道に続くのだろうか。再びゴーロとナメ床の繰り返しが続くが、しだいに渓相が荒れ気味となり倒木が頻繁に見られるようになる。

谷筋が広がり三俣っぽい二俣となるが、その前に通過するはずだった丸太橋はなくなっていた。2、3年前の記録には存在しているので、おそらく一昨年秋の台風で流されたのだろう。倒木もその時のものかもしれない。

右俣の方が水量多くすっきりしているが、進むべきは左俣。水が涸れて荒れているので不安になる。壊れた堰堤も見つからず、3本目の丸太橋もあらわれない。これが本当に正しいルートなのかますます不安になり、地図で平行して細かく派生している谷筋を偵察したりと、しばらくうろついてしまった。時間も随分と経過してしまい、一時はこのまま最初の木橋から撤退かなあ、大黒茂で撤退なんて・・・と悲観的に。

けれど、どう考えても間違っていないので、不安を抱えたまましばらく荒れた沢を先に進んでいくと、行く手に大きな滝が見えてきた。あれが12m大滝ならその前に5m滝があるはずだし写真と違うなどと、ぶつくさいいながら滝下へ。

けれど左岸の岩壁を登って滝上に抜けるとすっきりとした渓相となり、その先には12mナメ滝が続いていた。思わず歓声をあげ、ようやく間違っていなかったことを確信。この後はつぎつぎと楽しく登れるナメ滝がつづき、まさに大黒茂のハイライトであった。ほっ。

奥の二俣は距離の短い右へ進む。苔むした小滝が続くが再び倒木で荒れた様相に。時間も押しているので淡々と高度を稼ぐ。水が涸れ窪地になるころ稜線が見えてきて、最後は熊笹をかき分けながらひと登りで登山道に飛び出した。

休憩を含めて6時間もかかってしまったけれど、想定外の倒木帯でまごついたりしたから仕方ないかなと思う。我々にとっては決して易しすぎることもなく、いいトレーニングになったと思うことにする。登山道に出てしまえばあとはラクチン。

ハイカーとなって丸川峠へ。さすが人気の大菩薩。たくさんの人たちとすれ違った。丸川峠はカラマツの新緑がきれいな開けた草原の中にあり、気持ちがいいところだ。ここからは大黒茂谷林道ではなく牛首谷ぞいの登山道を下ってみた。

あまり歩かれていないようだが、とても歩きやすい雰囲気のいい道だった。あっというまに林道へ降り立つ。こんな山奥に立派な橋と真新しい広い舗装道路。驚くとともに、大いに首を傾げてしまった。

大沼沢と出合い泉水谷となるところはすばらしいナメ床がずっと続いており、予想外の展開にすっかりゴキゲンとなる。なんだ、大黒茂よりきれいじゃない。出合から泉水谷本流を遡行した方がすっきりしていたかもねと軽口がでる。ふたたび新緑の美しさに慰められながら、長い、長い林道を三条橋までもどった。

中流部の倒木帯さえなければきれいな沢なので、少し残念だった。途中で読図に迷いが出たのはガイドの記述を当てにしすぎたからと反省。15年も前に書かれたものであり、変化していて当然だ。終わりよければすべて良し、なのだが、初級からのステップアップはまだお預けだなと感じさせられた山行となった。

三条新橋5:30-大黒茂谷出合6:30/7:00-二俣10:40/11:00-登山道13:00/13:20-丸川峠13:50-林道出合14:40-三条新橋16:00