ブナの沢旅ブナの沢旅
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2009.04.28
黒谷林道~火奴山~丸山岳(往復)
カテゴリー:雪山

2009年4月28日-30日

 

2年前に初めて南会津の山を訪れて以来、黒谷川の向こうに真っ白に聳える丸山岳に憧れを抱いていた。この山域にほれ込み、昨年と今年の3月に再訪。そしていつも今度こそ丸山岳に行きたいと想い続けていたのだった。

こだわったのはコース。ポピュラーなのは会津朝日岳からのルートだが、あまり記録がない火奴尾根からたどってみることにした。。決め手は、黒谷林道の除雪が例年よりも早く行われたこと。これで黒谷川側から丸山岳に登れる!

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前夜発の日程が取れず、越後湯沢駅からレンタカーで只見へ向かう。2週間前に苦い思いをした国道252号線は4月23日に開通し、これまでで一番早い開通だという。黒谷林道の除雪も例年より2週間ほど早いらしい。

アクセスの問題がすべてクリアしたことを確認し、最終的に決めたのが火奴山コースだった。ほんのりと芽吹き始めた黒谷林道を奥へと進み、大幽沢出合で車をとめた。大幽沢は青々と清冽な水をたたえ、春の訪れを謳歌しているようだ。

歩いて10分ほどの橋を渡ったあたりから斜面に取り付く。火奴尾根の968mピークを目指して急斜面を登っていくと、藪がうるさくなるが困難なほどではない。下山時のために途中2箇所に赤テープをつけておいたが帰りに見つけられるかな。しだいにブナが目立つようになると目指す尾根に到着。一休みのあとワカンをはき、おおむね緩やかなブナ林の尾根道をたどる。

火奴山の山頂は台地状の雪原だ。大きく枝を広げたブナの大木に囲まれており、予想以上にすてきなブナ林が広がっている。このあたりはかつて熊撃ちが行われていたというが、途中のブナの古い切りつけにその片鱗がうかがえる。

山頂にテントを張る誘惑にかられたが、翌日の長い行程を考えてもう少し先へ進むことにした。雪庇と藪を交互に繰り返しながらしばらく行くと1416m小ピーク前の大きな雪庇の下が広い台地になっていたので、ここで行動を終了。東側の対岸には、稲子山から城郭朝日へ続くなだらかな尾根が尾を引いている。風ひとつない穏やかな夜だった。

丸山岳まで往復する予定だが、どれくらい時間がかかるのか見当がつかない。6時出発として12時までに山頂につけなかった場合は潔く戻ることとする。しばらくは小さなアップダウンの痩せ尾根が続き、藪こぎをしいられる。

なかなか標高が上がらず時間がかかり、一時は悲観的になる。けれどがむしゃらに前に進むのはブナの沢旅のポリシーではないので、まあいいかと、展望を楽しみながらのマイペース。

1500mあたりからようやく高度が上がり始め、ブナ林からシラビソの森へ。山の雰囲気が一変して白銀の世界となる。梵天岳への分岐である1723mに到着すると、いよいよ丸山岳が稜線の奥に見えてきた。思ったより近い。

山々のスケールが一段と大きくなってきた。メインストリートに躍り出た感じだ。そう、さっそく両方向に単独のトレースがあった。このルートを単独で歩く人はきっと熟達者なのだろうなあ。単独で自由に山を歩きまわれる人が羨ましい。

梵天岳への尾根を分け、緩やかなアップダウンを繰り返しながら進むと、白一色の山並みが近づいてくる。週末の雨は山に新雪をもたらし、ストックを刺したところが太陽光線に反射して鮮やかなブルーとなりとてもきれいだ。右手の真っ白な谷筋は東の沢の源頭部。秋に来るときはこの沢筋を詰めて草原の丸山岳に立つのだよ。

ここが山頂かと思える優雅に丸みを帯びた雪原は手前のポコだった。さらにひと登りでついに山頂へ。3年越しの念願をかなえることができました。360度の展望は言葉に尽くせぬほどに素晴らしく、しばし呆然とたたずみ、感慨にふけった。

会津朝日岳への稜線を目で追うが、コースの半分くらいは真っ黒で藪に苦労しそうだ。大きく羽を広げたような山容はすぐに荒沢岳とわかる。つい最近登った日向倉から未丈が近く、その奥には越後三山が高く聳えている。手前にはいつも気になっている村杉半島の横山から村杉岳の稜線が迫っている。

ひそかに来年こそはと、思う。西側にはおなじみの窓明への山並みが連なり、高幽山から坪入山への雪稜がシャープだ。北側では浅草岳も穏やかにその姿をアピールしている。ここから見える山々をメインフィールドに、もっともっと登りたい。

風が強くなってきたので、少し下ったシラビソ林の下で大休憩とする。時間に余裕ができたので、下りはさらにのんびり展望を楽しみながら歩いた。3時過ぎにテントサイトに戻ったが日はまだ高いので、テントをひっくり返して日干しする。我々もひっくり返りビール片手に銀マットでのんびり日向ぼっこ。

最近は山行のたびに不測の事態が発生し、テンバでゆっくりできなかったけれど、久しぶりにくつろぎのひとときを過ごすことができた。暖かいので外で食事を楽しみ、まだ明るいうちにシュラフにもぐった。

テントを開けると小手沢山の辺りから朝日が登り始め、すがすがしい朝を迎えた。火奴山からの下りで何箇所か急斜面があったので、今回はじめてアイゼンを装着。もう下山するのかと思うとさびしいけれど、またいい感じのブナ林の尾根を歩けるし、新緑の進行を楽しみとしよう。それにしても朝から日差しが強く、すぐに汗ばんでしまう。帰りは読図もかねて細かく地図と地形を照合しながら歩いた。

坪入から高幽山には幾重もの真っ白な谷筋が走っている。地図からも想像できるとおり、とりわけ坪入山直下のコルから太い直線で落ちるスギゾネ沢が目に付く。梯子沢や東、西実入沢を確認し、いつか遡行してみたいと思う。

968mピークから尾根を外れて下るところが要注意。時どきGPSとコンパスで確認しながら慎重に下っていても、すぐにトレースから外れてしまう。期待していなかった赤テープの一つを見つけたときは、思わずやったねと満面の笑み。

しだいに新緑の気配となり気持ちが弾む。黒谷川対岸の斜面の新緑の美しさに目を奪われる。これがみたくて黒谷川からの入山にこだわったのだもの。わずか2日間で木々がいっせいに萌え始めたようだ。この瞬間の美しさに遭遇できた幸運をかみしめる。

途中で沢筋に降り立ち、冷たい水で顔を洗い、喉を潤した。ああ、生き返った心地。林道に降り立ち、春爛漫の黒谷川沿いを大幽沢出合にもどった。川沿いの林道は歩きたくなるほど雰囲気がよく、新緑の中に点在する鮮やかなピンク色のおおやま桜がとてもきれいだった。

只見駅近くの川の駅の温泉は昼どきで他に誰もおらず、ゆっくりと湯につかって六十里街道をドライブよろしく帰路についた。

今回は限られた時間の中で丸山岳に的を絞ったコースを往復するという、控えめな計画となった。実質的には2日間で、日程やルートで物足りなさが残りましたが、それは少しずつ力がついてきた証拠だと思うことに・・・今シーズンの雪山歩きはこれが最後。来年はもう少しチャレンジしながら楽しもうと思う。

28日 大幽沢出合12:10-火奴尾根14:10/20-火奴山17:15/25-1400mピーク前テンバ18:10

29日 テンバ6:10-1723mピーク9:10-丸山岳10:45/11:30-1723mピーク12:30-テンバ15:30

30日 テンバ6:45-火奴山7:15/25-968m分岐9:45/55-大幽沢出合11:25