ブナの沢旅ブナの沢旅
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2009.03.20
尾白山~古町丸山~山毛欅沢山
カテゴリー:雪山

2009年3月20-21日

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春が近づくと会津の山が恋しくなる。少し遠いのが難点なのでなかなか実現しなかったが、やっぱり行きたい。地図をひろげ、ゆったりとなだらかに波打つ等高線と全山全域広葉樹マークを眺めていると、それだけで目に浮かんでくるのだ。ブナロードのあの光景が・・・

今回は出発の際にあってはならないハプニングが起きてしまい、「ブナの沢旅」は大いに反省することになった。けれど気を取り直して向かった会津の山は、どんなことがあっても暖かく迎え入れてくれたのだった。

朝起きて携帯を見ると、sugiさんからたくさんのメールと不在着信が。不吉な予感が的中してコールバックすると、案の定電車で田島に向かっていた。しばし言葉を失う。何ということだ。出発は明日21日のはず・・・。というわけで、出だしから強烈なパンチをくらった山行となってしまった。

日程についてはおのおの言い分があったが、そんなことを言い合っても意味ないと、すぐに二人で停戦協定。そもそもお互いレギュラーメンバーということで馴れ合いすぎてしまい、計画書も確認もあいまいにしていた問題点が露呈しただけだった。形ばかりとはいえ、ここは私のリーダーとしての無責任さによるものと猛省。

現実に戻ってからは、我ながらすばやい対応だった。大急ぎでパッキングを済ませ1時間後に自宅を出発。新宿発の特急で鬼怒川温泉まで行けば、田島には1時半に到着できるのだが、あいにく三連休の初日で全席指定の列車は満席。立ち席でもいいからと掛け合っても埒があかない。ホームではしきりに切符がないと乗車できないとアナウンスしているが、こうなったら密航するしかないと飛び乗る。

けれどなんとかなるもので、新栃木駅を通過してもう降ろされる心配はないと車掌さんに事情を話し、無罪放免となる。電車が遅れて田島への接続ができなかったが、sugiさんが田島駅で予定外のレンタカーを見つけ、会津高原駅で合流して現地へ向かうこととなった。とんだハプニングでヤレヤレだったが、「障害」を乗り越えて合流できたことがうれしく、ひとたび目的地へ向かえば、いつもの楽しい山行と変わらなかった。

宮沢集落の端にある尾白山登山口の標識を左折して林道に入っていく。除雪はイワナの養殖場へ下っていくところで終わっており、ワカンをつけて歩き始める。どんよりとした空模様で小雪がちらついている。

すでに3時半と普段なら行動を終える時間だが、日没前に行けるところまで行くことに。ところどころ夏道がでており、ワカンではかえって歩きにくい。小塩登山口合流点からは雪もたっぷりついてきた。うっすらと青空もでてきた。

そろそろテンバを探しながらの登りとなったが、1100m付近で尾根が西に向きをかえるところが雪堤になっていたので、そこまで行ってみることに。細長い台地状の平地で、行く手の尾根はちょっとしたナイフエッジになっている。

風の通り道のような場所だったけれど、展望が開けていて翌朝気持ちがよさそうと、ここにテントを張ることにした。支度をしているうちにあっという間に暗くなり、麓の集落の灯りがともりだした。夜は満天の星空で翌日の快晴が約束されたようだったが、やはり風の通り道となってしまった。

いつもより早めの4時半に起床。昇る朝日に照らされながら出発の準備をし、すこし緊張してナイフエッジを通過する。アイゼンが効いて小気味よい。すぐになだらかな広いブナ林となり、昨日もう少し頑張ればよかったと悔しがる。しばらく気持ちのいい散策路のような尾根をすすむと1278mピークが荒々しく聳えている。

登山道がどのように通っているのかわからないが、ここはピーク下の北側の斜面をトラバースして進む。尾白山手前のピークには雨量観測のポールとブロック造りの小屋があった。ここも北側の斜面をトラバースし、最後は無木立の斜面をひと登りするとピークに到着。

標識は雪に埋もれてわからなかったが、記録によるとゴヨウマツがはえた狭い平地が1398m山頂らしく、ここでザックをおろす。ようやく最初のピークを踏んだわけだが、私たちにとってはここからがブナロードへの出発だ。

木々の間から丸山が近い。ゴヨウマツの多い尖った山容の尾白山はむしろ特異な存在(だからこそ、古くから雨乞の対象となっていたのだろう)で、これから先はたおやかな尾根を連ねる全山ブナ林の山並みが続くのだ。

藪山愛好家の記録を読むと尾白山から先は身の丈もある藪に閉ざされ通行困難とあるが、雪は完全に藪を覆い隠し、すてきなブナの森となっている。予想していた通りだ。足取りも軽くあっという間に丸山のふもとへ。ただただ真っ白なおむすびのような山頂を目指して急な斜面を登っていく。

山頂は運動会でもできそうなだだっ広い雪原で、片隅に雪で埋もれた小さな小屋があった。360度の展望は素晴らしく、山座同定がつきない。尾根をつなげられる大博多山は最近ずいぶんポピュラーになったよう。

これから進む山毛欅沢山への尾根はレンガ色に萌えるブナが波打ち、その先には昨年歩いた坪入、窓明が真っ白に聳えている。谷を挟んで恵羅窪山が正対し、城郭朝日山の尖った山頂も見える。おととしはあっち側から丸山を見ていたのだなあ。

前日の出発が大幅に遅れたため予定通りのコースを歩けるか不確実だったが、最初の目標である丸山まで進んで目途が立った。さあ、山毛欅沢山までのブナロードを満喫しよう。緩やかなアップダウンを繰り返しながら至福の散策だ。こんなに素晴らしいブナの森も無雪期は藪に閉ざされてしまうなんて。せめて残雪期の新緑を一度見てみたいと、来るたびに思う。

楽しい時間はあっという間に過ぎるもので、昼過ぎには山毛欅沢山手前の1526mピークに着いた。少し下り、おととしテントを張った平原でお茶を沸かしてのんびり休憩する。懐かしく、あらためて素敵なところだと思う。眼前の山毛欅沢山は南側の雪庇に亀裂が入って地肌が出ており、5月の連休のときのようだ。

下りの南東尾根もブナ林のきれいななだらかな斜面で、山スキーを楽しんでいる人たちも少なくない。1000mまで下ったところで慎重に地図を読み、小立岩に下る尾根に進む。このあたりから急に雪がなくなり、ワカンをはずすとともに、タクシー会社に電話をして30分後に下に来てもらうよう手配。最初こそ緩やかだったが、途中からは転げ落ちるような斜面となり、まばらにはえた低潅木の枝を頼りに200mほどをバックステップで急降下。

大久保橋に降り立つと同時にタクシーがやってきた。当初は小立岩からバスで帰る予定だったのでこの尾根を選んだのだが、鳥井戸橋に下る東尾根のほうが緩やかではるかに歩きやすかった。宮沢林道に置いた車を回収し、田島駅で電車を待つ間にささやかな打ち上げをしてコースを予定通り歩けたことに感謝。そして、いままでの馴れ合い体制を打破すべき方策を検討しながら帰路についたのだった。(sugi、ako)

3月20日  尾白山登山口15:40-1100mテンバ18:10
3月21日  テンバ6:30-尾白山8:20/30-丸山9:20/9:35-山毛欅沢山手前1500m12:40/13:10-大久保橋15:30

写真集(編集中)