ブナの沢旅ブナの沢旅
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2009.01.29
世附峠~湯船山~三国山~篭坂峠
カテゴリー:ハイキング

2009年1月29日

 

駿河小山駅からタクシーで世附峠への林道をできるだけ入ってもらおうと思ったが、道が荒れているからと山口橋で降ろされた。さっそく岩田さんの手作り標識が現れ、このあと道中、カラフルで愛らしい標識を楽しみながらの山歩きとなる。

2万五千分の1の地図では途中から登山道の破線となるが、荒れてもいない立派な林道は600m付近まで延びていて、近いうちに世附峠の林道とつなげるつもりのようだ。今ではあまり風情のない世附峠であるが、かつては相州と駿河を結ぶ重要な交易路だったとのこと。

湯船山方面へ向かうとさっそく気持ちのいいカヤトの山道となり登るにつれ富士山が大きな姿を見せ始めた。天気予報では曇りだったので展望は期待してこなかったが、予想外の好天だ。

標識に「必見、樹下の二人」とあったので、興味深々と向かうと展望の開けたサンショウバラの群生地となり、真ん中に木が一本立ってベンチが置かれていた。せっかくだからと樹下の二人の記念写真。峰坂峠を越えてしばらくすると左手の草むらで物音が聞こえた。胸騒ぎがしたので足を止めていたら、数メートルほど前を大きなイノシシが三頭横切っていくではないか。一瞬熊かと思いドキッとしたが、彼らはそそくさと立ち去ってくれてホッ。

植林帯を抜けて白クラの頭へひと登りするころから、尾根道はブナの大木が顕著な林層となる。丹沢で見慣れているブナはコケで黒ずんでいるのだけれど、ここのブナは樹肌がきれいで雪国のブナのようだ。見とれながら写真を撮りながらと、足取りも滞りがちになる。木々の間からは丹沢の山並みが手にとるように見える。

北には御正体山がひときわ大きい。国境尾根を目で追っていくと彼方に日曜日に行った大室山が見える。北東方向のうんと向こうの山並みから頭を出しているのが蛭ケ岳。あらためて丹沢は大きな山塊なのだと思う。

湯船山はずんぐりした小山のようだ。朽ちかけたベンチに腰掛けて休憩。北側はモミの大木が生い茂り、緑の季節にはもっと鬱蒼とした森の雰囲気となるのだろう。新緑や紅葉もぜひ見てみたい。

明神峠にはちょっとした思い出がある。2年前の3月に峠のゲート前にテントを張り、翌日は土沢一ノ沢を遡行して三国峠へ抜けるつもりだった。ところが朝起きたら雪が降っていて、さすがに遡行は中止。代わりに三国山~大洞山のスノーハイキングを楽しんで帰ってきたのだ。

しばらく車道と平行する道を歩き、三国山登山道へ。広く広がる尾根にブナの大木が点在し、なかなかの景観だ。しだいに雪もついてきた。三国山に着いたときには二人ともお腹がぺこぺこ状態で、さっそく温かい昼食を作って一休み。台地のような山頂はブナに囲まれた広場のようだった。

大洞山方面には雪原の森が広がっていて、これまでと景観が一変。ここはどこ?といいたくなる雰囲気で、まるで会津の森を歩いているような錯覚にとらわれる。最高点の大洞山から下っていくと樹林帯が途切れ、突然のように富士山が度迫力で迫っている。そう、私たちはずっと富士山に向かって歩いてきたんだものね。

富士山に登りたいと思ったことは不思議と一度もないのだが、山を歩いていて富士山が見えるととてもうれしい。世附から歩き始め、もう山中湖の近くまで来たのだなあ。もう少しで終わりと思うとホッとするようなさびしいような。快適な雪の坂道を駆けるようにくだり、あっという間に籠坂峠のバス停に着いた。じみながら、しみじみいいコースだった。

 

山口橋8:00-世附峠9:15-湯船山11:05/11:20-明神峠11:50-三国山13:05/13:50-大洞山14:40-籠坂峠15:30