ブナの沢旅ブナの沢旅
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2008.12.06
大倉尾根~丹沢主脈
カテゴリー:ハイキング

2008年12月6日

 

5-6日に山形県の葉山と六十里越を甘く計画していたところ、前線通過で悪天候が予想されあっけなく中止。予定が宙ぶらりんとなってしまったため、かねてから一度トライしてみたかった日帰りの丹沢主脈縦走に挑戦した。そしてもう一つの目的は10月の原小屋沢の詰めの迷いを確かめることだった。

悩んだのは出発点をどちらにするか。できれば焼山登山口から大倉に下りたかったが、一本しかない朝のバス便だと歩き始めるのが7時半とおそい。日が短い時期なので慣れている大倉尾根とはいえヘッデン下山は避けたい。また、長いコースなので途中でリタイアするかも知れず、そうなると戻っても夕方までバスがない。

大倉から登ると下山で夕方一本しかないバスに間に合わないとアウト。そこでかなり控えめにコースタイムを割り出して、12時までに蛭ヶ岳に着かなかったら引き返すことにして大倉から入ることにした。前置きが長いけれど、それだけ本人は真剣に悩んだのでした。

渋沢駅からの朝一番のバスは満員でビックリ。常連のような年配者が目立つ。話を聞いていると互いの健脚振りを暗に披露しあっているようで、単独で自分のペースで歩いたほうが人に迷惑をかけないからいいんですよといいながら、先日は蛭まで足をのばして10時40分に着いたなんていっている。

バスの中で身づくろいをしてすぐに歩き始めるが、単独のおじさんたちにどんどん抜かされた。長丁場なので苦しくならないペースを維持しながら休憩を減らして時間短縮することにしたのだ。

花立山荘で小休止の後は丹沢山までノンストップ。塔ノ岳手前からは木々が霧氷で覆われ始める。特に丹沢山への道はとてもきれいで早足で通過するのがもったいなく、写真を撮ったり眺めたりして少し予定時間をオーバーする。

ずっと休まずにきたのでシャリバテもあった。ところが途中からガスが出始め丹沢山に着くころにはあたりが真っ白に。急に心細くなり、一瞬帰ろうかなと思ってしまう。

けれど時間的にはほぼ予定通りなので、気を持ち直してとにかくもう少し進んでみることに。振り返ってみれば大げさなのだが、そのときは悲壮感をもっていざ出発。本来ならば見晴らしのいい稜線漫歩が楽しめるコースだけれど、あたりは真っ白。登山道なので当たり前だが、道が明瞭だということはありがたいことだった。

心細く一人で歌をくちずさんだりして行くうちに少しガスが薄くなり、気持ちも晴れてきた。鬼ヶ岩を過ぎたあたりでガスがみるみる流れ去って行き、行く手の草原の尾根が見渡せるようになった。

右手にはブナ林の市原新道も明瞭に。どれほどうれしかったことか~。犬の鳴き声も聞こえてきた。ひと登りで頂上に着くと、すでにたくさんの登山者がくつろいでいた。みんなどこからいつの間に来たのかなあ。別世界に来たみたいだ。時間は11時58分で予定通り。あとは下るだけだから大丈夫とはいえ、まだまだ油断は禁物と短い休憩でさっそく出発。

どんどん下っていくとあっという間に地蔵平へ。落ち葉の積もった広い台地でとてもいい雰囲気だが、道は不明瞭となる。ここから先は右手の支尾根や谷の形状に注意しながらすすむ。

原小屋沢を詰めて登った支尾根らしきところを通過。登山道は尾根の手前を通っていた。あの時はたぶん落ち葉が新しく、今よりもわかりにくかったために気づかずに横切って尾根に上がり、道がないとあせってしまったのだろう。すぐに原小屋平に到着。右手の窪はほんの数メートルくらいで、下に降りてみた。両岸は開けた窪地で登山道と平行して続いている。

最後の二俣を左に進めばこの窪状の源頭にでられたのだ。推測はできたものの、実際に確認してのどに刺さった小骨が取れた気持ち。思い出の姫次は晴れていれば見晴らしがよく気持ちがいい展望台で、何組かの登山者がくつろいでいた。あのとき、霧に包まれたベンチが見えたときの泣きそうな安堵感がうそのようだ。

東海道自然歩道のコースとなっている登山道はとても歩きやすい。黍殻山を迂回して最後のポイントである焼山へ。この一帯は将軍の狩猟場で、狩猟しやすいように毎年草を焼いたのが山の由来とのことで興味深い。

最後の下りは植林帯も多く飽きてきたころようやく集落のある車道に降り立った。うれしい誤算なのだけれど、バスの時間まで一時間近くも余ってしまった。逆コースにすればよかったとは後知恵。自分の体力にちょぴり自信がもてたので、バスを乗り継いでの長い長い帰り道も苦にならなかった。

丹沢主脈1 丹沢主脈2

大倉7:00-塔ノ岳9:35-丹沢山10:35-蛭ヶ岳12:00-姫次13:18-焼山14:35-焼山登山口15:45