ブナの沢旅ブナの沢旅
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2008.12.15
大蔵山~菅名岳
カテゴリー:雪山

2008年12月15日

 

せっかくの新潟遠征だからと、守門大岳の翌日は川内山塊の北、阿賀野川と早出川の間にある1000mに満たない大蔵山~菅名岳に足を伸ばしてみました。この小さな山にこだわったのには理由がありました。

両山とも県内有数のブナ林があること、そしてもう一つは、新潟に住んでいた子どものころにいつも眺めて憧れていたあの山(護摩堂山)の向こうを知りたかったのです。

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早朝長岡からレンタカーで大蔵山の登山口であるミニコロニーいずみの里へ。入り口近くの吉清水には早朝にもかかわらず水を汲んでいる人たちがいた。ブナ林から流れる清水を使った酒造会社の酒「菅名岳」も親しまれているとのこと。

きれいに手入れされた杉林の林道を進むと道は二手にわかれ、橋を渡って大蔵山の登山口へ向かう。菅名岳からの下山はこの分岐に戻ってくることになる。あたりの山々は霧氷で白くなり、人里からほんのわずかの距離なのに急に山深さが感じられる。急坂コースを分けて沢コースに入ると足元はシダ類や青笹で緑がいまだみずみずしく、雪と沢とのコントラストが美しい。

登山道は沢を渡り枝沢沿いに登っていく。しだいにあたり一帯が雪化粧となり、雪山の雰囲気がでてきた。雪はあまり期待していなかったので嬉しい。天気も予報に反して快晴。となれば、顔がほころばずにはいられない。

コースは沢をはなれ尾根にのると待望のブナの大木が点在するようになる。里山の低山とは思えない見事なブナの原生林が斜面一杯に広がっている。何度も立ち止まっては、大好きなブナに囲まれていることの幸せをかみしめ、ゆっくりのんびり山頂(864m)へ。早足はこの山には似合わない。

山頂からの360度の眺望も期待以上。西には広大な新潟平野が広がりその先には日本海もみえる。南には川内山塊の白山、その後ろには 粟ヶ岳が雄々しく聳えたっている。冬の粟ヶ岳に挑戦してみたいなぁ。そして反対方向には遠く飯豊の真っ白な峰々まで見渡すことができ、予想外の眺望に二人で大感激だ。

一通りの展望を楽しんだ後、さらに新潟平野の真ん中に盛り上がっている小さな丘陵に目を向ける。二百数十メートルそこそこの護摩堂山を特定することはできなかったが、山の反対側の平野の真ん中が私の生まれ故郷なのだ。

さらに日本海側にはもう一つの懐かしい山並である弥彦山や角田山が見渡せる。あの山々や平野を指差しながら、sugiさんに私の思い入れを語る。見渡す限りの田んぼの先に見える山並は半世紀!近くたった今でも鮮明に脳裏に刻み込まれているのだ。

あの山の向こうに憧れ、手に取るように見えたあの山に近づきたくて、まっすぐ延びた田んぼのあぜ道を山に向かって歩いたことがあった。けれど距離も時間も子どもの感覚。当然どんなに歩いても山は近くならず、心細くなって一目散に引き返した。こんなことずっと忘れていたのに、山に行くようになって急に記憶がよみがえり、いつか帰ってみたいとひそかに思っていた山域。

山頂を去りがたかったが、これからが三五郎山から菅名岳へのメインコース。ミニ縦走に向け少し下ると小さな小屋が建っていた。低山で小屋もあることだし厳冬期の吹雪いたときに雪山トレーニングしてみるのも面白いかもね、などと軽口をたたきながら快適な雪尾根を進む。

小さなアップダウンを繰り返し菅名岳に到着。台地状の広い山頂からはさらに五頭山や飯豊の前衛山が近い。穏やかな日差しを浴びながら一休みする。昨日黒姫山麓で採ったナメコを山ほど入れたうどんは、抜群の展望と相まって極上の仕上がり。美味しくて暖かくて雪が気持ちよくて景色がよくて、雪山ハイキングでこれ以上何を望めるだろうか。

下山路も楽しみだ。最初の100mはとても急な階段を下っていくのだが、木の根が多く滑りそうで緊張する。丸山尾根コースも中腹はブナ林が素晴らしい。新緑や紅葉のときも歩いてみたい。

どんどん下っていくと眼下にブナとユキツバキに覆われた大きな広場のような鞍部が見えてきた。椿平だ。足元一面のユキツバキが咲くころはさぞかしきれいだろう。

ここから尾根を離れ、ユキツバキ林の道を下って新江沢北沢へ出る。急坂だがとてもよく整備された道だ。谷は深いが沢筋は開けており足元はツバキやシダで緑がみずみずしい。この沢を登ってみたいとそそられる。

登山道は沢沿いを進み、なんども丸太橋で沢を渡る。地元山岳会の貢献もあり素晴らしいコースが複数開かれており、登山季節には多くの登山者で賑わうのもうなずける。静かな冬に来て良かったのかもしれない。

もう十分と、どっぱら清水には立ち寄らず林道終点にでた。看板が二つあり、この一帯は郷土の森として保存されているという。樹齢300年のブナの大木やユキツバキは原始のままで保存されていることを知りうれしかった。
ブナ林は緑のダム。安定した沢床は水生植物に覆われてきれいな景観を保っている。だから沢には足を踏み入れないようにと書かれていたことも、正直に記しておこう。林道にでたころから雨がぱらつきだし、駐車場にもどると本降りに。

すべてができすぎのシナリオだなあ。故郷の山が歓迎し、涙を流して喜んでくれたのだろうか。また一つお気に入りの山域が増えてうれしい。これからもたくさん機会をつくって訪れたいと、夢と妄想をふくらませながら帰路についた。(sugi、ako)

いずみの里7:50~大蔵山10:25/45~菅名岳12:00/12:45~北沢登り口14:04~いずみの里15:15

写真集