ブナの沢旅ブナの沢旅
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2008.11.28
小櫃川折木沢~四郎治
カテゴリー:ハイキング

2008年11月28日

 

このところ週末の都合がつかないため、金曜日に時間をもぎ取って房総の沢、第三弾を計画した。折木沢は昨年暮れに行った土沢と四郎治沢の西側に位置するいわば三兄弟の長男。

二万五千分の1の地図で折木沢と表記されているのは土沢で、黒滝がある隣の沢が折木沢だ。山渓の分県ガイドでは房総のなかでもトップクラスの渓谷美の沢であると紹介されている。

時折雨脚が強まる中、午前中には晴れることを信じて木更津へ。小降りになってはきたが、少し様子を見ることにして駅前のコーヒーショップで時間をつぶす。予想通り雨がやんだので亀山湖に向かい、折木沢橋を渡って猪ノ川林道に入る。昨日からの雨で道路は水浸しだ。

加勢林道出合が広場になっており仮設のトイレが設置されていた。週末には多くの人出があるらしい。やはりというべきか沢は増水で濁流となり、とても遡行できる状態ではない。房総の沢は水量が少ないから雨あがりがちょうどいいなんて、とんでもないたわごとだった。すぐに今日はハイキングねと、頭を切り替える。

すべるので沢靴に履き替え、沢沿いの林道を歩き始める。雨上がりの空気はさわやかで気持ちがいい。お目当ての紅葉には少し早かったようで、さすが房総半島は暖かいのだと思う。かなり雨が降ったのか、対岸の山は幾筋もの滝を落としており、見栄えがする光景をつくりだしている。

車止めを越えると素掘りのトンネルだ。出口付近がシャワーのようになっていたので足早に抜けようと飛び出したところ、予想外の光景が飛び込んできて思わず悲鳴を上げてしまった。濁流と化した幅広の斜滝がまるでこちらをめがけて押し寄せてきているように見えたのだ。地図にでていた黒滝だった。

増水によるあまりの変貌ぶりに唖然としつつも、危険な思いをせずに増水の恐ろしさを目にすることができてよかったと思う。しばらく進むと再びゲートが現れる。

この一帯は東大演習林となっていて普段は一般開放されていない。明日明後日が開放日なので、一日違いだからお許しをと、おそろしくガードの固いゲートの脇をなんとか空身ですり抜ける。よく整備された気持ちの良い道には随所に演習林内の樹木や演習活動に関する案内板があって、とても興味深い。

川廻しのトンネルを何度もくぐり、ゴルジュや瀞場を眼下に見下ろしながら進んでいくと道はしだいに高度を上げ始め、沢を離れてスギやセコイア、モミの森となる。

導かれるままに登っていくと突然畑の平地が広がり、家屋があらわれた。郷台畑はかつて人が住んでいたらしいが、いまでは演習林作業場になっている。こういうところでのんびり自給自足の生活なんていうのも悪くないなあと思いながら、次のポイントである四郎治沢の源頭部へむかう。

地図で想像していたのとは違い、しばらくは舗装された林道だ。登るにつれて視界が開け、三石山への稜線が近い。ほんの300m前後の山並なのだが、とても山深く感じられる。

関東ふれあいの道からのびる稜線の三叉路に着くと、ここも立派な林道なので意外だった。標高が低いので稜線まで林道が縦横に張り巡らされているようだ。林道は尾根の東側10mほど下に水平につけられているので現在地がわかりにくい。

どんどん歩いていくと突然行き止まりとなり、行く手が切れ落ちて深い谷となる。地図のイメージとあまりに違うので、なんだか狐につままれたような気持。尾根が東にカーブする手前から北に張り出した尾根に乗るつもりだったのだが、それらしい尾根が見当たらない。このあたりでうろつくが、らちがあかないので少し戻って地図を見直すことにした。

案の定、少し手前の稜線の尾根が林道に下りているところの尾根の反対側に道がついていた。わかるわけないよーと、不平とも安堵ともつかぬため息。すぐに方角が北を指し、林道尾根の反対側をトラバースして予定していた北尾根(Bライン)に乗ることができた。

途中行き止まり林道の谷を見下ろすところで地形を見ると、行き止まりは左右に伸びている尾根の鞍部になっていることがわかった。ヤレヤレ・・・けれどまだ油断は大敵。地形が入り組んでいて地図との照合が難しく、どこでどう間違うか気が抜けないのだ。2度トンネルをくぐると西にのびる道が合流。少し迷ったが北向きの尾根をさらに進む。

けれどもう一度地図をよく見ると、どうもここが注意ポイントのよう。進むべき尾根は途中から少し西に進んでから北向きとなって(Lライン)2本の尾根が平行しているからだ。このポイントをクリアすればあと注意しなければならないのは加勢林道との合流点のみ。

ようやく目途がついたので、木漏れ日の平地でおそい昼食タイムとする。もう2時近くになってしまった。冬のハイキングの定番となった鍋焼きうどんで温まり、ようやくひと心地つく。

明瞭な尾根道を緩やかに下っていくとかつて人家があった加勢の平坦地となり、眼下に林道が見えてきた。ただ林道を下ればいいのだが、地図をみても現在地が特定できないもどかしさ。すぐに見覚えのある車が見え、突然のように出発点に戻ったことを知ったのだった。

気軽に考えていたハイキングが予想外にエキサイティングな実り多い読図山行となった。とくに四郎治の行き止まりについては、読図と実際の地形がなかなか符合せず納得するまで何度も地図を見て考えてしまったが、こうしたデータを蓄積することで読図力がついていくのだろう。

房総の山並みは低山とはいえ地形が複雑で、2年前に道迷いの遭難事故も発生している。某ベテラン登山家は毎年一度は房総の山で読図をするそうだ。

さあ、平水の折木沢を再訪したいし、四郎治沢を最後まで詰めて逆方向からあの行き止まり地点を通り、かつての生活道だったというもう一本の北尾根を下ってみたい・・・つぎつぎと房総プランが沸きあがってくる。なんだか楽しくなってきたよ。夕日にそまる富士山とずっと一緒に帰路についた。

加瀬林道出合9:30-郷台畑11:00-Bライン尾根11:50-四郎治12:20-加瀬林道出合15:30