ブナの沢旅ブナの沢旅
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2008.10.26
名取川小松倉沢~南沢下降
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2008年10月26-27日

 

始発の新幹線に乗り、仙台駅からレンタカーで二口温泉奥の林道を進むと、地図のゲート位置よりはるか手前で工事のための通行止め。磐司岩の岩峰を眺めながら林道をしばらく進み、沢に近づくあたりから沢に下りるといきなり沢幅いっぱいのナメが広がる。最初からいいねぇーの連続。

左右にかかる枝沢はどれもスダレ状のナメ滝を落として出合っており、まるで滝見ストリートのよう。しばらく行くと10m滝があらわれる。滑らか過ぎて手がかりがない。左岸手前のガレルンゼを登って巻く。その後も数メートルほどのナメ滝がいくつかあらわれるが問題なく越えられる。

左岸の森の中に山小屋風の建物がみえると右岸から南沢が出合う。明日はこの沢を下降する予定だ。ちゃんと戻ってこれるかなぁー。このあたりのナメは本当に美しい。近くにある「天国のナメ」といわれている大行沢に決して劣ることはないと思う。

ナメと小滝を楽しみながら進むとしだいにブナの森になっていた。紅葉は控えめな色合いながら、それはそれで渋い風情だ。途中大岩が点在するちょっとした瀞場にはたくさんのイワナが泳いでいた。

これだけいれば釣れそうだねとYさんは思わず釣竿を出そうとするが、釣れないよとも言えず、お楽しみは次回にしましょうと先にすすむ。小松倉沢と小松原沢の出合でしばし休憩。

小松原沢が本流だが、今回は小松倉沢へ進む。出合いのナメ滝を越えると沢は多少小ぶりになるものの両岸が開け、ブナ林の段丘が広がる。葉を落としかけた細く白い幹が浮かび上がっているように見える。

ナメはずっと続き、数メートルほどの小滝をいくつか越えていく。見栄えのする2段8m滝をフリクションで登っていくと前方頭上に白い筋が見えてきた。20mの直瀑だ。穏やかな渓相が続いていたので緊張する。左が巻けるはずなんだけどなぁーと見渡すものの明瞭ではない。そこで少し戻って右岸の尾根から高巻き始めたところどんどん登ってしまい、下降のタイミングを逸してしまう。

草つきの急斜面をトラバースしてなんとか沢床に下りたときには5mと10m滝も一緒に巻いてしまった。もっと簡単に小さく巻けるルートを見つけられなかった。うーん、まだまだだ。とにかく一安心と、さらに続く小滝を越えていくと沢はさらに細くなり、両岸の岩も苔むして源流部の様相となる。すぐに予定していたテンバの二俣へ。

左岸の一段上がったところの平地に泊まることにした。すると風が強まり雨が降り出してきた。急いでタープをはってテントに逃げ込む。雨なんて予報なかったよーと恨めしく、焚き火もできなくなったが、テントで身支度を整えれば快適だ。早々に食事をしてシュラフにもぐり込めばすぐに夢の中。

翌朝も小雨模様だったが、気を取り直して支度をしていると急に青空が出てきてバンザイ!二俣を右に進むと開けたブナの段丘の中をナメが延々と続いている。雨も上がり気持ちも晴れやかだ。

奥の二俣は左へ進むあたりから稜線の鞍部が間近となる。ようやく水が涸れ始めるあたりで再び二俣となるが、神室岳に近いからと左に進んだのが間違いだった。

沢型がなくなると藪がひどくなっていった。結局小一時間ほど石楠花の藪と格闘する羽目に・・。今回二つ目の反省点だ。やっとの思いで登山道にでてからは滑りやすい粘土質の急坂を15分ほど登って神室岳に到着。エネルギーを補給してからは、いよいよ南沢への下降だ。時々すぅっと霧が出て視界がなくなる中、コンパスを振りながら慎重に方向を確認。

踏み跡はすぐに消えて藪となる。神室岳を越えたところからも下れるが等高線が密で沢型が明瞭でなく、記録でもなかなか水が出てこないと書いてあった。そこで神室岳の先の小峰を越えた鞍部からの下降点まで進むことにした。

藪の薄いところをトラバースしていくと谷筋が見えてきた。今度はうまくルートが取れたようでホッとする。滑り落ちるように下っていくと沢音が聞こえ、すぐに沢に降り立つことができた。

左沢は最源頭部まで水が豊富で、まるで稜線鞍部から水が流れて落ちているように見える。今度こそのんびり下るだけだねと、一服。しばらくは取り立てて何もないが、下るにつれ周りの森が色づいてきてとてもいい雰囲気だ。

右沢が合わさり、右俣が合流するあたりから沢幅も広くなり待望のナメが続くようになる。右俣は見える限りナメ滝が続いており、興味をそそられる。不要な高巻きや藪こぎをしてしまったけれど、予定通り南沢を下って気持ちのいいナメ沢を歩いているとそんな苦労も吹き飛んでしまった。

あっという間に本流に戻ると、来たとき以上に素晴らしく見えるナメが待っていた。もう全身脱力の幸福感・・・名残り惜しむように下り、来るときに巻いた10m滝前から林道にあがって車にもどった。

近くの磐司温泉に立ち寄って仙台駅にもどると数分で新幹線が。なぜか東北遠征はいつも帰路のタイミングがいい。かくして今年最後の沢泊山行はナメとブナを堪能するだけでなく、懸案の沢下降と不本意ながらも藪こぎトレーニングができたと思うことにして、充実した沢旅となったのでした。

10月26日 林道車止め9:20-入渓点9:45/10:10-小松倉沢出合13:35-1040m二俣(幕営)15:15

10月27日 幕営地7:30-稜線9:10-仙台神室9:25/35-南沢左俣左沢11:20/35-本流出合13:20-林道14:00-車止め14:30