ブナの沢旅ブナの沢旅
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2008.03.23
勘七の沢
カテゴリー:

2008年3月23日

 

急に日程が取れたけれど、日帰りの雪山で適当なところが思いつかなかったので、今シーズン初めての沢トレをすることにした。勘七の沢を選んだのは、苦手意識のあるF1をクリアしたいと思ったからだった。

最初からのんびり歩いてしまい、二俣から遡行を始めたのは9時半になってしまった。小草平の沢を右にわけるとさっそくF1が目の前に。今年始めの朝一番、のっけからきびしいなぁと思いながら覚悟をきめ、空身でとりつく。

でもすぐに目の前にぶら下がるシュリンゲの誘惑に勝てずにつかまってしまう。その上、中段で間隔をおかずにある支点にランニングビレーをとるときに、なんとZクリップをしてしまう!あってはならないことだ。

不安定な態勢で上のヌンチャクをはずしてなんとかクリアする。上段は問題なく抜けてヤレヤレだった。ところがまたドジをする。確保の用意ができたら次はザックの荷揚げだと思ってしまった。

支点からカラビナはずさなければできないのに、だ。意思疎通がうまくいかず、結局Y さんはカラビナをはずしながらザックと一緒に登ってきたのだった。最初から反省点だらけなのだけれど、そのためのトレーニングだと言い聞かせて先に進む。

F2少し手前の右壁を登るのだが、岩がもろく手足をかけるたびに周りの岩屑がぼろぼろこぼれて怖い。慎重に登って下を見ると、単独の女性が座って待っていた。あれっ、よくみるとぶなの会のNSさんではないですか。すぐ上の堰堤を越えたら先に行ってもらおうと思ったところ、彼女は堰堤を巻いて先に進んでいった。NSさんはすごい人なんだよとYさんに教える。

深い釜をもつF3は右壁をへつって滝下に取り付くのだが、ここでも腰が引けてしまい苦心する。これまで2度遡行したときにはスムーズに通過していたのでショックだったが、これまでは人のあとについていたからできたのだなあと改めて思った。ほんの一手の動きが大きな違いを生む箇所だった。

しばらくいくと一見迫力のあるF4だ。下段を登ったテラスから滝の右脇の窪をはいあがる。上部には真新しいトラロープが下がっていたが、頼ってしまうとかえってバランスが崩れてよくないと思った。

テラスからは数メートルくらい上がる間隔だったので補助ロープで足りると思ったが、甘かった。また反省点が増えてしまう。このあと堰堤を五つ巻いたり脇をよじ登ったりしてF5へ。すでに昼になってしまったのでまずは腹ごしらえをする。

F5は見た目ほど難しくなく、すでにリードを経験しているので気持ちの余裕があったのだが、途中少しまごついてしまう。どうも左により過ぎたみたいで、もっと水流側によると登りやすくなった。つづくYさんも水流を避けすぎたためかえって苦労してしまい、最後はごぼう状態であがってきた。

さあこれで大きな課題は終わったとホッとする。ゴルジュの中に続く小滝は楽しいのだが、2段目の滝は一段上がったところの左壁を残置スリングにつかまってトラバースするのが難しかった。そのあとの滝もとくに問題となることはなく最初の二俣へ。

左へ進むと次第にゴーロとなり、その先のガレの二俣にはわらじがかかっていた。右に入るといったん水は涸れるが再び水流が現われ10m涸棚右のトイ状滝には豊富に水が流れていて、雪解け水なのかとても冷たかった。途中まで水流を登り、左壁を乗り越したカンテを登る。

次第に足取りが重くなるころ前方に大岩が見え、右手のルンゼは雪渓で埋まっていた。ここで沢靴を履き替え、ルンゼ左側のざれた小尾根を登るが、足元はガラガラだ。途中足元の長さ30cmほどの岩がはがれ、下にいたYさんの指にあたってしまうというアクシデントが発生。

大事には至らなかったが、ヒヤリとした。ようやく花立山荘裏の枝尾根に這い上がったときには疲労困憊の状態だった。たくさん失敗したし時間もかかったけれど、なんとか自力でやりとおせたことがうれしかったし、ちょっぴり自信にもつながった。

去年は主にナメのきれいな横の沢ばかり歩いていたので、今回のようにいきなり縦の沢を登ることはとても疲れた。普段使っていない筋肉を総動員した感じで、翌日は全身の筋肉痛に見舞わた。

超弱小同人「ブナの沢旅」にとっては、かなりのチャレンジだったかもしれない。でもこうしたトレーニングをしておくことによって、悪場に遭遇したときにも余裕を持って対処できるようにしたいというねらいで、これからも頑張ろうと思った。

大倉7:45―二俣(入渓)9:00/9:30―F5 12:20/40-三本目のルンゼ14:40/15:00-花立茶屋16:00/15―大倉17:55