ブナの沢旅ブナの沢旅
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2008.03.08
横山〜神籠ヶ岳
カテゴリー:雪山

2008年3月8-9日

 

3月に入り天気も安定してきたので、ようやく会津へ行ってきた。最初に選んだのは、山頂直下にきれいなブナ林が広がる神籠ケ岳。雪の状態で行動時間が大きく変わってくるので、当初は神籠ケ岳だけをピストンするつもりだったが、地図を見ているうちに隣の横山とつないで歩いてみたくなった。もくろみは大当たり!誰も歩いていない素敵なブナの雪尾根を心行くまで堪能することができた。

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10時過ぎに会津下郷駅に着き、予約しておいたタクシーで中尾集落にむかう。会津藩が参勤交代で通った歴史ある下野街道沿いにあり、近くの大内宿本陣は今は観光地となっている。尾根の取り付きにある神社を目指すが、場所がわからなくて運転手さんが民家の敷地に車を入れて中の住人に聞いてくれた。

ご夫婦が出てきて親切に教えていただき、おまけにお茶を飲んでいきなさいとしきりに勧めてくれる。時間が気になったのでお礼だけいって教えられた道を進むと植林帯に入り、参道に導かれるように神社へ。これで一安心だ。

数少ない横山の記録ではみな桑取火集落の林道終点から先端が728mピークの南尾根を登っているのだが、このルートだと11時出発では間に合わない。そこで記録はないけれど横山の東端から南東に緩やかに伸びて中尾集落に続く尾根に注目したのだ。

安全登山をお祈りして神社の裏手の尾根に取り付く。今回は初めてスノーシューをはいてみたのだが、雪もしまっていて歩きやすい。曇っているのがちょっと残念だが、ブナの混じる自然林の雪尾根を快適に登っていく。左手には高倉山の尾根が平行して続いており、前方にはこれから登る稜線も見えてきた。

一日目の目標は1250mの広い鞍部だ。ところどころ急斜面に苦労しながらも予定よりはやい2時についた。予想通りブナの大木が点在する広い平坦地で泊ま りたくなる場所だが、時間も早いのでできるだけ進むことにした。

沢筋から離れないよう緩やかに登っていくと、横山から東に伸びる尾根と合流する。ブナ林の枝にはびっしりと霧氷がつき始め、幻想的な美しさに見とれてたたずむことしばし。人が入った気配のない手付かずの自然に、自分たちだけの足跡を残すことの快さを全身で感じながら森をさまよっているような感覚にとらわれる。

1320mあたりで主尾根に乗り、小さなアップダウンを繰り返す。前方の展望 も開け、神籠ケ岳の稜線も見えてきた。尾根は途中から東に向きを変える。導かれるまま北に進みそうになったが、Yさんの地図読みで東側を偵察してみると確かに一段下がったところから東向きに尾根が張り出していた。

数メートルの落差があったので雪壁を突き崩し、ブナの大木を支柱にずり降りた。緩やかに下っていくと再び尾根が広がる平坦地が現れたので、ここを本日のねぐらとすることにした。

風邪が強く、少し下ったところにテントを張ることにしたのだが、雪がやわらかくて整地にてこずる。テントの中は暖かい。さっそくビールで乾杯してから野菜たっぷりの汁ビーフンをおいしくいただき、7時前にはシュラフにもぐる。このころには風もやみ、夜中に外に出たら満天の星。翌日はきっといい天気に違いないと確信して一日を終えた。

朝起きると空は青く、朝日が輝いていた。昨日の風で私たちのトレースも消えている。登り返した小ピークにはかわいらしい動物の足跡が縦横に走っている。ウサギかな?朝の集会でもあったみたいだ。

朝日を浴びながら雪庇の張り出した尾根をゆっくり歩き、まずは神籠ケ岳手前の1381mのピークをめざす。暖かく少し歩いただけで汗ばんでしまう。右手には二岐山から小白森~大白森~旭岳の稜線が見えてきた。いつか歩いてみたいなぁ。

息を切らして急斜面を登ると360度の展望が開けたピークについた。なんと開放的ですばらしい展望だろう! 20万分の1の地図を取り出し、山座同定を楽しむ。目の前の山並は博士山と志津倉山のようだ。どちらもブナの美しい山だという。いつか行ってみたい。

はるかかなたには燧ヶ岳と至仏も見える。反対側には安達太良や飯豊連峰も真っ白な姿を浮かび上がらせている。ここで初めて単独者のトレースがあった。私たちも最初は沼山集落からこのピーク経由で神籠ケ岳に登ろうと考えていた。

一旦緩やかに下るのだが、スノーシューが快適だ。こんな気持ちのいい下りがずっと続けばいいのにと思う。登り返すと暑くてジャケットを脱いだのだが、そのときにまた地図を落としてしまうという失態を・・・もう驚かないよと、あきれられる。5万分の1も持ってきていたので、なんとか代用する。

30分ほどで神籠ケ岳に到着。特に標識もなく、少し下がっところの木に 巻きつけられた赤、青、黄色のテープが山頂を示しているだけだった。急にたくさんの踏み跡が出てきて、かなりの人が入っている様子だったが、みな同じコースを往復しているようだった。展望のいい高台のようなもっこりとした雪面に座り込んでおやつを食べ、お目当てのブナ林をめざして山頂をあとにする。

直下の急斜面にはあちこちに足跡がちらばっている。今までまっさらな雪面を歩いてきたので、ちょっと興ざめ。たおやかに広がるブナ林が眼下にみえてきた。いい感じなのだけれど、期待が大きかった分いまひとつ感激がすくない。

横山の尾根は静かでよかったなとか、小手沢山から恵羅窪山のブナのほうが美人だなとか比べてしまう。広く緩やかな尾根が終わると急斜面となり、どんどん高度を落としていく。1031mで尾根がわかれるが、大内宿に下る北東の尾根に進む。

こちらも踏み跡がしっかりしていて下山は読図の必要がないほどだ。途中大きな反射板のピークで一休み。しだいに対面の小野岳が大きくなってくる。眼下には大内宿の家並みも見えてきた。たくさん人が歩いているのが見える。

あっという間に下り、植林帯を抜けて林道に降り立った。タクシーを呼ぶために大内宿本陣へ向かい、電車の時間に合わせて予約をしたあと、観光客に混じって街並みをぶらついてみるが、5分もしないうちに興味がなくなり、路地に入って残りのビールを飲みながら時間をつぶす。1時半の電車に乗り、鬼怒川温泉で特急列車を待つ間に街で蕎麦を食べて帰路に着いた。

短い山旅だったけれど、自分だけのとっておきのコースを歩くことができて満足だった。神籠ケ岳もさることながら、横山からのコースが印象的というのが共通の感想だった。

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8日 中倉集落10:50-829mピーク11:40 -1250m鞍部14:00-主尾根14:50-テンバ16:30

9日 テンバ7:20-1381mピーク8:40/50-神籠ケ岳9:20/40-1031m反射板11:00-大内宿林道12:00