ブナの沢旅ブナの沢旅
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2007.02.03
地蔵平~富士見峠 (歴史探索の山歩)
カテゴリー:ハイキング

2007年2月4日

 

かねてからネットで情報を集めていた、地蔵平から富士見峠を、読図をかねて歩いてきた。二本杉峠までは一般登山道で、先月も屏風岩から権現山に行ったときに通ったところ。

ここから千鳥橋までは、地図では崩壊地があるので初級者不可と書いてある破線の道。最初はしっかりした道を進んでいったところ、途中で急なやせ尾根に突き当たった。なんとなしの踏跡にそって右にトラバースしたものの、すぐにざれた窪地に切り込んで行き詰る。

なんとか降りようと試みたが無理そうなので、どうもおかしいと、戻ることに。元の道に戻ろうとしたのに違う斜面に行ってしまったようで、とにかく這い上がればいいからと上を目指したら道が出てきた。けれどそれは峠から山腹を通って地蔵平に行く道だった。そのときは不思議な気がしたが、あとで地図を見て納得。

気を取り直してもう一度同じ道をたどったところ、すぐに下降していく道がちゃんとあった。そこを見過ごしてしまったのだ。しっかりした道を下っていくと、あたりは河原状の小高い台地が広がるいい雰囲気になる。

最初から行き詰ってもう退散?ということも脳裏をかすめたので、ほっとしてうれしくなった。ところどころ崩れているが慎重に歩けば問題ない。一箇所だけざれた急斜面が崩れていたところは高巻いて降りた。最初のつまずきで時間がかかってしまったが、それがなければ3~40分で千鳥橋につける。

千鳥橋に降り立ち、これから未知の領域を歩くのかと思うとわくわくした。昭和30年代までは、ここを森林軌道が通っていたのだ。地蔵平に近づくと、沢沿いの林のなかに小さな鳥居が見えてきた。さらに少し先の林道沿いには、写真で見ていた、赤いちゃんちゃんこがかぶせられた小さな祠が。

お賽銭をだしてお参りする。このあたりにかつて集落があり、小学校の分校もあったのだ。多いときは200人近くが森林伐採や炭焼き業で暮らしていたという。レールの一部がトロッコのゲートと思われるところに立っていた。もっと歴史を知りたいと思った。

予定よりはるかに時間がかかってしまったが、次の目的地、富士見峠に。沢を渡渉してシキリ沢右岸にかつて人々が往来した古道のふみあとを探すが、とりつきがわからない。とにかく838mに続く尾根にのればいいのだからと、適当なところから植林帯の斜面をよじ登る。

林業で人が入っているようで、なんとなく踏みあとがあちこちに。一汗かいて尾根にでてからはほとんど水平だが、途中から背丈を越える笹薮となり、ところどころ手ごわい。

ネットで情報を得ていたので突き進んだが、何も情報がなくてこういう場面に遭遇したら、先が見えないのでどういう判断をしただろうか。藪が薄いところを進んでいくと鹿柵があらわれ、さらに進んでギャァーー!目の前に鹿の死骸が。さすがに素通りすることはできずに藪を回りこむ。

けれど怖いもの見たさに後ろから覗き込んでみると、網が角にぐるぐる巻きになっていて、まだ生きているようだ。きっと網にかかってもがき大暴れしてもとれず、何日かたって餓死したのだろう。かわいそう。でも、生きていたとしても助けてあげることはできなかったろうな。

気を取り直しさらに藪を進むと、ようやく抜け出し、歩きやすくなってきた。端正な姿の権現山が目の前に。あの窪んだところが朝通った二本杉峠だな。

さらに進むと左下には林道がみえた。もう少しだ。936mのピークから少し下ればそこが富士見峠。ようやくやってきました!けれど朽ち果て倒れた標識がわずかに峠の存在をしめすだけで、知らなければ見過ごしてしまうようなところだ。標識を起こそうとしてみたが、倒れて久しいのか、埋もれてしまってびくともしない。数メートル先が林道で、峠方向へは通行禁止の看板が。

気が付けば富士山が正面に大きい。富士見峠だもの。下ってきた右手には古道らしい道が通っているが、左手林道の向かい側は谷底で切れ落ちている。古道はどのようにつながって、織戸峠に続いていたのだろうか。これは次回の課題としたい。

とりあえず今回の目的は達成された。陽だまりのなか、鍋焼きうどんで1時間ほど休憩しながら、しみじみする。昔の人はこの峠を通って水の木からさらに切り通峠、平野に抜けたのだなぁ。沼津の魚もこの峠を通って商われたという。

さあ、あまりのんびりもしていられない。当初は峠から南東に伸びる尾根づたいに千鳥橋に抜ける予定だったが、南東方向から続いている古道がどうなっているのか探ってみることに。

最初はとてもいい感じの道なのだが、沢の源頭部を回り込むところが崩壊している。通れないこともないが、このさき何箇所も崩壊しているかもしれない。今回は時間がないので距離は長いけれど安全な林道を通って地蔵平経由で帰ることに。バス停までは、気が遠くなるほどの林道、車道歩きだ。5時半のバスに乗るために早足で歩くが、だんだん気がせってきた。

法行橋には狩猟グループの車が何台か駐車していたが、人の気配がない。けれど、しばらく歩いていくと、車の音が。やったとばかり大手を振ってヒッチハイクに成功!

狩猟期に抽選で日曜だけ1日二組だけが入猟を許可されるそうで、大勢が山に入って追い込み猟をやっていたとのこと。鉄砲をもった猟師に囲まれながら山を歩き回っていたわけか・・と、ひやっとする。

車に乗れば浅瀬橋はあっという間だ。きっと歩いていたらバスに間に合わなかっただろう。丁重にお礼を言ってあとは車道をのんびり歩いて帰った。

 

 

細川橋8:30~二本杉峠9:25/35~千鳥橋10:50(ロスタイム40分)~地蔵平11:25/40~富士見峠13:20/14:20~地蔵平15:15~法行橋15:50(ヒッチハイク)浅瀬橋16:10~丹沢湖バス停17:10