ブナの沢旅ブナの沢旅
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2005.10.23
小草平ノ沢
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2005年10月23日

 

山岳会は例会に出席しないと山行計画の情報が得にくいため、予定の立たない週末となる。沢に行きたかったので、思い切って短い初級の沢に単独で入ってみることにした。

陳腐な言い方だが,期待と不安な気持ちで大倉から二俣へ。沢装備をつけて入渓する。最初は心細い気持ちで一杯だったけれど、歩き始めてすぐに気持ちが沢登りモードとなり、心細い気持ちよりも沢にいる喜びが大きくなる。

F1の滝が見えてきた。最初の滝で緊張気味だが、上にシュリンゲがぶら下がっているのを見て安心する。立っている割にはホールド、スタンスとも良好。とはいえ、緊張しながらクリアする。F2、3段の滝を左から取り付く。細かいけれど手がかりはある。

けれど途中でつぎの手に困り、しばしせみ状態になりあせる。態勢を整え、思い切って立ち込みクリア。二つ目も左から問題なし。三つ目も左らしいが、最初の一歩が立ち込めそうもなく、無理は禁物と思って早々に諦め、右岸を巻く。ちょっと残念。

そのあと3条3メートルのあたりで先行する2人パーティーが見えてくる。雨具を着ている。中央が登れるようだが、完全なシャワークライムになりそう。やはりザイルなしでは怖い。ゴルジュの中で両岸とも切れ立っている。巻きも悪そうだ。右壁はほぼ垂直だが、途中バンドがあるし、ホールドもありそうなので、登ってみる。滝登りと同じくらい緊張する。

上部を滝の落ち口の方へトラバース。ひやひやもの。なんとかクリアしてホッとする。つぎの滝で先に行ってくれと言われ、2人パーティーを追い越す。男の人は新人らしく、もう精根尽き果てたといっている。私だって新人だもんと内心思いながら、するすると4mCSを左側から左足のツッパリを利かせて通過。

最後6-7mの滝。一番むずかしい滝らしい。うーん、確かに。どう攻めたらいいものか。上の方に残置シュリンゲが見える。ここまで来たのだから登らなければという意気込みで取り付く。途中までは問題ないが、上部はのっぺりしていて、ホールド、スタンスともに乏しい。シュリンゲをつかむがスタンスがない。

どうしようかと迷ったが、左手でシュリンゲをつかんだまま、右壁側のでっぱりに右足を大また開きで乗せてたち込み、少し上に上がったところ、右側の上にホールドがあって乗り越すことができた。安堵感で後ろを振り返ると、2人パーティーが拍手をしてくれた。とってもうれしい。

あとはしだいに水が少なくなって、伏流となる。倒木が多く源頭部は荒れている。しだいに植林帯となり、前方の尾根に登山者が見えた。ああ、やり遂げたんだと実感がわいた。ふかふか土の急斜面を少し登って大倉尾根の登山道にでた。堀山の家のほんの少し手前だった。

嬉しくて仕方ない。ずっと念願だった一人での沢登り。ようやく実現できた。簡単で短い沢だけど、何ものにも換えがたい新しい経験をまた積むことができた。もっと自由になるために、もっと強くならなければ。そのための貴重な一歩を踏めて幸せ。なんだか自信がでてきた。ちょっとしたことなのに、大きな気持ちの違い。A small step for others but a big step for me.葛葉、マスキ嵐、モロクボ、源次郎、いろいろ一人で行けそうだ。

当初は下降も考えてロープを持って来たが、いきなり一人で懸垂をするのも心配だったし、遡行ですっかり満足したので、下降は次回の課題とし、今日は天気もいいのでハイキングをすることに。堀山の家のベンチで装備をといておにぎりを一つ。大倉の休憩所で買ったのだけれど、とてもおいしかった。あっという間に花立山荘。こんなに近かったっけ?山岳会で鍛えられたのか、早くついてびっくり。ちょっと休んで大好きな鍋割山稜を歩く。

ブナが黄色に色づき始め、錦の紅葉ではないけれど、しっとり秋の気配が感じられてなかなかいい雰囲気。いつ歩いてもそれぞれの季節のよさがある。この尾根はそれほど人通りは多くないが、さすがに今日は多い。鍋割山もハイカーでにぎわっていた。富士山がくっきりみえる。堀山の家のおじさんが、初冠雪だといっていた。20分ほど休憩。あとは下るだけ。途中沢装備のおじさんが休んでいたので興味がわき、声をかける。寄方面の沢から登ってきたらしい。小さな沢がたくさんあって、よく来ているとのこと。遡行価値という意味ではわからないが・・・

廃道になっている旧東海道自然歩道が面白いという。藪に隠れているが、幅広い路があるのだという。冬に読図のトレーニングをかねて行ってみるのも面白そう。二俣で沢靴を洗い、残りのパンとコーヒーで休憩してから足早に大倉へ。ちょうどバスが出発する間際に乗り込むことができた。二俣から45分。私にとっては上出来だ。

思わぬ収穫のあった日曜日だった。最初は何の山行予定もなくつまらないと思ったけれど、そんなときは自分で行けばいいのだよね。

大倉8:15-二俣9:15/9:30(入渓)-堀山の家(遡行終了)11:10/11:30-花立12:05-鍋割山13:10/13:30-(途中10分くらいおしゃべり)二俣14:45/15:10-大倉15:55