ブナの沢旅ブナの沢旅
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2005.04.24
寄川小屋ノ沢
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2005年4月24日

 

三月末の大山川右俣におためし山行で参加した帰り、MRさんとYSさんが計画書らしきものを見ながら話しているのを興味本位でのぞくと、イイハシの大滝という大滝を登るという。沢の会はやっぱり違うなあと想いながら、帰ってどんなところか調べてみた。

4月から入会することに決め、沢オープニングに参加。二日目にセドノ沢右俣の大滝をやっとの思いで登り,興奮冷めやらぬ間に、YSさんにそれとなく「あのぉー、小屋の沢、私でも行けますかぁ」と投げかけてみると、あっさりと「いきますか、いいですよ」と返ってきた。ほんとかなと思いつつ,勢いで参加を表明。

後日、主催者のMRさんが行けなくなり、二人だけになったがどうするかとYSさんから連絡。初めてでザイルパートナーは無理なので,別の沢に行こうということになった。好きな沢を選んでいいと、これまた嬉しい申し出を受ける。あれこれ調べていたところ、再び連絡があり、参加者が増えたので予定通りになったと計画書が送られてきた。それを見てガクゼン!YSさんの他にTK、MT、KNさんという、すごい大御所メンバー。どっ、どうしよーと、参加をためらったものの、リーダーがいいというなら,むしろいい機会だと気を取り直し,当日に臨んだ。と、長い前置きになってしまった。

渋沢駅に7時に集合し、YS車で寄大橋に向う。寄方面は初めてだ。大橋脇の駐車スペースに車を止め歩き始めると、舗装道路が延びている広川原にでる。以前は設備の完備したキャンプ場だったらしいが、いまは環境保全地域になってすべて取り払われ,スポンサーらしきエネルギー関連企業の真新しい看板がやたら目につく。

30分ほどで入渓点に到着。身支度をしてゴーロの川原を進むとまもなく、くの字状の10m滝下へ。岩がかなりもろそうだが,元気になって「生き返った」KNさんがリードで水流脇の右壁を大胆に思い切りよく登る。YSさん曰く、KNさんは命が惜しくないから、と。自分はまだ命が惜しいと、その後もことあるごとにつぶやいているのが印象的だった。

つぎに小さな釜を持つ2段5m滝があらわれる。左壁が階段状で登りやすそうにみえるが、MTさんは右壁を行く。取り付きが嫌らしそうだが、大岩を下から抱えるようにして通過。ロープを投げてくれたが,届かなかったため恐る恐る試してみたところ、案の定滑って釜にドボン。ヤレヤレと思うまもなく、今回の核心である45m大滝があらわれる。上段は見えないが,確かに立派な滝だ。見上げると新緑が目にしみる。ミツバツツジも鮮やかなピンク色の花を咲かせ,沢から見上げる光景はとても美しい。だから沢っていいなあと、急に幸福感がわいてくる。

だけれど、今はよそ見をしているときではない。みんな大滝をどう攻めるか話し合っている。ここはガイド通り、左壁を直上してかぶり気味の大岩の所で左にトラバースし水鉛を登る。YSさんがリードするが、トラバースのところで苦労していると,下からKNさんが「ほんとにそれでいいの。ちゃんと見てくださいよ!」と檄を飛ばす。

5人では時間がかかるので2組にわかれ、YSさんのあとにセカンドで引き上げてもらう予定だったが、トラバースが厳しそうなことを察したTKさんが次に登り、ザイルが直角になっているところにシュリンゲをたらし、水鉛を登るところではアブミを作ってくれた。至れり尽くせりである。

25mの下段テラスは人が1,2人ようやく立てるくらいの不安定な所だが、3ヶ所で支点確保がされていた。そのテラスに着くと、YSさんに「じゃあ上に行くから確保してね」といわれる。一瞬「えっ,私がここでビレー?」と、YSさんの大胆さにおどろくが、「はい、わかりました」。練習はしていたものの、沢での支点ビレーは初めてだった。

上段の滝は取り付けず,ザイルをつけての大高巻きとなる。上段の落ち口に戻ったときは,これで核心が終わったと安堵する。MTさんはすでに2回この沢に一人で来たころがあるが、さすがに大滝は巻いたらしく、3度目でようやく大滝に登れたといっている。こんな所に一人で2回も来るなんて物好きだなあと思ったら、TKさんはすでに、なんとソロで大滝を登ったと聞いて二度ビックリ。そんな「篤志家」の方々と一緒に沢登りできるなんて、なんて幸せなんだろうと思う。

さて、沢はしだいに涸れ、しばらくゴーロを行くと,突然のように一面荒れ果てた広川原が目に飛び込んできた。なんと殺伐とした光景だろう。疲れがどっと出てきて休憩をとる。先の二俣は右俣に進み、出合いの5m涸棚を登る。岩がもろそうで,この先は何度か補助ロープを出してもらう。

すこしかぶり気味の8m涸棚を越えると悪そうな10m棚があらわれ、右壁を巻くことにするが、KNさんは最後まで登れるはずだといいながら納得いかない様子。次の10mを越えると三俣となり、正面5mのルンゼに取り付く。その後もつぎつぎと数メートルほどの涸棚があらわれるが,いずれも岩がもろい。続く13mの棚はTKさんのリードで、後続を肩がらみで引き上げる。ヒヤヒヤしながら,一つ一つの岩を確かめるが,ここで直径20センチくらいの岩がはがれ,心臓が止まりそうになる。

最後の15mはKNさんがトライするが、すぐに大岩がはがれて危険なので左から巻く。どうやら源頭部のようだ。右壁側からざれた急斜面をトラバースするが、ここでもTKさんがバイルで斜面を掘り起こし,足場を作ってくれた。小尾根にのり、灌木を支点にざれた斜面をさらにトラバース気味に登って行くが、すべりそうな気がして斜面に体をもたれるようにして歩いていると、もっと上体を起こし,足裏のフリクションをきかせないとかえって滑るのだと、後ろからYSさんとKNさんがアドバイス。20分ほどで稜線の登山道にでた。一服して装備をとき、あとは登山道を一気に下って駐車場にもどった。

入会したての新人にとってはかなりのチャレンジだったが、ロープをたくさん出してもらったり、登りやすく手を加えてもらったりで,なんとかついて行くことができた。新人としての期限付き「特権」をフルに活用しつつも、頑張ろうという意欲がわき、1年後の自分が楽しみに思える山行となった。

入渓点8:05/8:20ー大滝9:40ー二俣11:20/11:35ー源頭部13:50ー登山道14:20―寄大橋